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2017年05月21日21:17

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カトワール:交響曲

第1楽章、のどかな田園生活を連想させるような第1主題が力強く歌われる。管楽器が活躍して明るく伸びやかだ。田舎の人は優しいイメージがあるが、芯はこの曲が表わすようにがっしりしていないとできないようだ。第2主題は水辺の優しく爽やかな情景を映しているようだ。展開部は大地に腰を据えた開放感の中で浸れる自然界の壮大さを見せてくれる。ロシア人が大地に寄せる信頼感はかなり高いようだ。

第2楽章、快活に弾むスケルツォ楽章。中間部で旅に出る前のわくわく感に似た気分を感じるが徐々に表情が暗くなってくるのはどうした訳だろう。突如冒頭の明るさを取り戻しながらもどっちつかずの気分で曲を閉じる。

第3楽章、哀愁の色濃いクラリネットの旋律で始まる。やがてホルンがこだまのように慰めの旋律を返す。管楽器の響きが美しいが滅入ってしまいそうな歌に満ちた緩徐楽章だ。フィナーレは心落ち着かないままに眠りに落ちるように静かに消える。

第4楽章、家庭内の素朴で和やかな団欒を感じさせる。飾りっけはないが賑わいの中で嫌な気分も削ぎ落とされるようなかなり迂遠な回り道をさせられているような気分の曲だ。一応大団円なのだろう。

カトワールの唯一の交響曲。名前が示すとおりフランス系の家庭に生まれているが、ベルリンでピアニストとしての訓練を受け、生地モスクワに戻って、1926年5月21日に64歳で亡くなった。ベルリンでワグナーに感化され、ワグナー協会の熱心な会員となったが故にロシアの音楽界からは干されたといわれている。そのどこが悪いのか分からないが、そう言う時代もあったのだろう。音楽作品はピアノ曲や室内楽曲が圧倒的に多いが、未だに埋もれた作曲家のひとりとして扱われているのが現状だ。《Georgy Catoire:Symphony in c minor》





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