第1曲「プロヴァンスのジャスミン」、子供の頃初めてジャスミン茶を飲んだ時、美味しいとは思えなかった。独特の香が馴染めなかったせいもある。それ以来長い間、ジャスミンは中国産と勘違いしていたが後になってジャスミンの語源はペルシャ語だと知った。フランスでは香料とし使うために中世の頃から大規模に栽培されていたようだ。優しい音楽だが芯がしっかりしている。香の強さも夜に開花する性質にも似合っている。
第2曲「 ギュイエンヌのひなげし」、可憐な花と言うイメージが擦るが、意外に逞しい音がする。夏を迎える喜びに踊っているような感じだ。風が吹くままに花が揺れ動く姿は可愛げがあるが、打ちのめされることなく耐えている。名前の通り、芥子の仲間だが、麻薬は抽出できない。
第3曲「アンジュのばら」、さすがにタイトル通り気品のある音楽にまとめられている。夢想がちな貴婦人の姿が思い浮かぶ。
第4曲「ラングドックの向日葵」、少しでも高く、少しでもたくさん夏の日差しを受けようと毅然と立つひまわり。青い空に黄色い花のコントラストは見事だ。観賞用ももちろんだが、フランスでは食用油としてもひまわりはとてもポピュラーだ。
第5曲「ルションのカモミール」、湯浴みをして寛いでいる乙女と言う雰囲気の優しい曲。カモミールは入浴剤としても良く知られている。
第6曲「プロヴァンス高地のラヴェンダー」、一分に満たない短い曲だが、古楽のような素朴さのある爽やかな曲。ラヴェンダーの香が音楽の中にも漂っている。家庭の団欒に花を飾って、ファミリーコンサートをするような味わいを感じる。
第7曲「ベアルンの朝顔」、小学生の頃、朝顔の観察日記を書いたことがないだろうか?そんなに頑張って起きる必要もないのに朝顔は朝一番に見なければいけないような気になる。おはようと挨拶する声が聞こえるような清々しい音楽だ。
第8曲「ピカルディの矢車菊」、放射状に広がる花が矢車のように見えるのでそう命名されたらしい。音楽はまさに小さな矢車のように心地好く回っている。ただしフランス語には矢車のイメージは全くない。語源的には小さな青となるだろう。地中海沿岸の広範な地域に群生している。
8曲で構成されたピアノのための小品集。それぞれの曲に地域名と花の名前がタイトルとして付けられている。この地域名はタイユフェールの個人的な印象なのか、特産地とされているのか、あるいは地域のシンボルなのか全く分からない。《Germaine Tailleferre(1892.4.19 – 1983.11.7):Fleurs de France》
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