今日、ラッセル・クロウとライアン・ゴズリングの共演作「ナイスガイズ!」観てきました。
冒頭、暗い空撮画面にカラフルな「THE NICE GUYS」の文字が浮かび上がったのを見て、おお、なんか70年代っぽいじゃん、と思っていたら・・・、いきなり「1977年」の字幕が。
なんとこの映画、1977年のロサンゼルスを舞台にした探偵物語だったんですな。
そう、筋立ては一応探偵映画っぽくなってるんですよ。
主人公のマーチがしょぼくれた落ちこぼれ探偵で、いきなりスーツ着たままバスタブに浸かってる姿で登場なんて、愉快です。これ、確か「シェイマス」でバート・レイノルズがやってましたな。
マーチと心ならずもコンビを組むことになるヒーリーの商売が「殴り屋」というのも嬉しいところ。こういうの、あの「ダーティハリー」にも出て来たもんね。
で、二人が巻き込まれる事件の裏に、ロサンゼルスの排気ガス規制に絡んだ陰謀があるってのが奮ってます。これは明らかにポランスキーの「チャイナタウン」を意識してます(あちらは水利権の話でしたが)。
最初は単純なマンハントものに見せておいて、次第に謎が謎を呼ぶ展開にもっていく、という、あちらの探偵小説の定石を踏んだ運びも堂に入ったもので、とてもいい気分になりましたね。
ええ、私はこういう映画が観たかったんですよ。
本作にはアクションシーンもふんだんにありますが、それらが度を超してアクロバティックになってないのも、いいですね。
「トリプルなんとか」とか、「ワイルドなんとか」とか、「ボーンなんとか」みたいな、馬鹿みたいに派手でアクロバットを売りにしたようなアクションには、私は興味がまったくないんです。
かつてはジョージ・C・スコットやロバート・デュバルやジョー・ドン・ベイカーやウォーレン・オーツみたいな、イケメンからほど遠いおっさんがアクション映画に出ては汗を流し、息を切らし、巨体をゆさぶりながら、肉体の全てを使って敵と戦っていたもんです。
キレのある動きだとか華麗な体捌きなどとは一切縁のない汗臭そうなおっさんのリアルなアクション。これこそ、私が希求するものなんです(あ、ブルース・リーと千葉ちゃんは例外ですよ。念のため)。
唯一不満があるとすれば、マーチと彼の娘のホリーの絆が今ひとつ明確に描かれてないことなんですが(そのあたりはマーティン・ブレストの「ミッドナイト・ラン」が短いシーンの中で巧く描いていたなあ)、そこはまあ、大目に見ましょう。
あと、最高に愉快だったのは、今から40年前のロスが舞台になってるということで、喫煙者がバンバン出てくるってこと。ええ、もう、老いも若きも男も女も、盛大に喫ってましたねえ。
唯一ラッセル・クロウだけが酒もタバコもやらないキャラクターなんですが、彼もラストではバッチリと葉巻をプカプカ!
やっぱアクション・ヒーローってのはこうでなくちゃ。タバコもロクに喫えないような健康志向のヤワな野郎がいくらカッコつけたって無駄無駄。
宮崎駿の「風立ちぬ」にくだらない文句をつけた狂信団体の連中に、これを見せてやりたくなりましたな。
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