矢口史靖監督の最新作「サバイバル・ファミリー」観てきました。
なにこれ面白い!
小松左京の「日本沈没」「物体0」「首都消失」を思わせる、疑似イヴェントSFの快作でありました。
とは言っても矢口監督のことなので、2008年の「ハッピーフライト」同様、これみよがしな大作感はゼロ(ホメてます)。ものすごくスケールのデカい話なのに、作品自体はひとつのダメ家族の復権と「人間の『生きる力』の復活」の物語に仕立てられていて、気持ちよく観られましたね。ロードムービーとしても出色の出来です。
文明の崩壊に伴う人心の荒廃に関わる描写が都合良く避けられていたり、ラストが蛇足だったりという欠点はあるものの、機能不全に陥った社会に灯る一抹の光明や、サバイバルに関するディテールが極めて精緻に描写されているので、私としては大満足。
特に愉快だったのは、主人公一家があるところで出会う視覚障害者の老女のグループ。彼女達が思いついた珍商売が、実にケッサクなんですね。これにはまいりました。よくこんなことを思いついたなあ。
唐突にジョン・ウィンダムの「トリフィドの日」を思い出してしまいました。
上記の通り、作品的には満足なんですが・・・。
さて、さほど映画には詳しくない方、あまり映画を御覧にならない方、この「サバイバル・ファミリー」という作品のことを知ってますか?
たぶん、殆どの方がご存じないんじゃないですかね。
一応、製作母体はフジテレビなんですが、あまりパブリシティに力を入れているようには見受けられないんですよね。日本映画専門チャンネルでは細々とメイキングとかオンエアしてるようですが。
矢口監督の前作「WOOD JOB!」(こちらはTBS)も面白かったのに、興行的には不発でした。なんでもっと幅広いお客さんに観てもらえるように働きかけないのかなあ? 私のような映画ファンですら露出不足を感じているのですから、映画に対してアンテナを張ってない人には、本当に届かないですよ。
「サバイバル・ファミリー」のような秀作は、埋もれさせてはいけないと、切に思います。
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