序奏、怪人の出現を表わすような劇的な咆哮で始まる。ホルンが提示する主題は伸び伸びしているのだが打楽器が怒りを爆発させたように迫るのでちょっと構えてしまう。さて、どんな奇怪劇が始まるのか。
11の変奏曲、変奏部に入り、がらっと変わって、ピアノ独奏で主題を提示するが、ギャップの大きさに思わず笑ってしまう。お馴染みの「キラキラ星」だ。モーツァルトの変奏曲で良く知られているが元々はフランス民謡で歌詞はいろいろありすぎて、どれが本来のものか分からない。最後におどけたファゴットがちょこっと入る。ついで、軽やかに疾走し始め、西部劇風な情景を見せる。管楽器が主題を保持している間、ピアノは自由な旋律を楽しみワルツ風に変わる。
兎が飛び跳ねているような楽しげな気分で浮かれて、カリヨン風な響きがキラキラ星を見せてくれる。ただし、キラキラ星は日本人の発想で、原曲の持つイメージではない。ふたりの夜的な大人のムードで流麗に楽しさの後は追悼歌のような雰囲気に急転するが、靄が切れてファンタジーの世界に突入。運命に翻弄される飄々とした英雄の旅風に展開する。最後の変奏曲はなかなか堂々としている。
終結部はおどけたフガートだが可愛い感じが強い。様々な楽器がピアノに絡んでアンサンブルの妙技を披露する。主題の懐かしさも加わって、夢の世界を閉じる。
ワグナー、レハール、ラフマニノフなどの雰囲気を模倣している所もあって楽しいパロディ作品になっているが、それだけに留まらず音色や早いパッセージの技巧的な部分なども聴き応えを十分に感じる。《Dohnányi Ernő(1877.7.27 – 1960.2.9):Variationen über ein Kinderlied C-Dur für Klavier und Orchester, op.25》
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