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2016年12月27日23:10

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「拝啓ルノワール先生」 「ラスコー展」

先週、1年ぶりに上京した折、せっかくなのであいた時間に美術展に行ってみようと考えた。

国立西洋美術館の「クラーナハ展」が浮かんだが、これは来月には、大阪市の国立国際美術館に巡回する。
三菱一号館では何をやってるんだろ? とタブレットで調べると梅原龍三郎とルノワールだ。
ところがこれも来年3月に大阪に巡回。
大阪でも見られるんなら・・・とは思ったが、天王寺まで行かなきゃならないし、三菱一号館も「ヴァロットン展」以来、行っていない。
そんなわけで、東京駅からてくてく歩く。
この日の東京は最高気温が18度もあって、12月とは思えない暖かさ。持参したマフラーも使わずじまいだった。

「拝啓ルノワール先生 〜梅原龍三郎に息づく師の教え」(三菱一号館美術館)

展覧会のタイトルが長すぎ(笑)。
テレビドラマのタイトルみたいだよ。

でも梅原龍三郎の「ルノワール愛」がひしひし伝わる展示でした。

梅原龍三郎、といえばすぐに浮かぶのは、北京滞在時代に描いた、切手の図柄にもなった紫禁城の風景であったり、太い描線でダイナミックに描かれた裸婦像であったりするのだが。

梅原は1908年、20歳の時にパリに留学、ほぼアポなしの状態で、すでに晩年のルノワールのもとへやってきて弟子入り志願、ルノワールも東洋の果てからはるばるやってきた若者を快く迎えたようで、以来、ルノワールは、彼の画業にさまざまな影響を与えた、というのがこの展覧会のコンセプト。

ルノワールは梅原と会ったとき、もう老境に入っていて、手取り足取り教える、という濃密な師弟関係ではなく、絵のアドバイスを与えるといった感じだったようだが、梅原はルノワールを慕い「終生の師」と仰いだようだ。ルノワールの梅原宛の書簡も展示されていた。

梅原はルノワールだけでなくセザンヌにも会っているし、二度目の渡欧ではピカソやルオーとも交流している。
とはいえ、これだけ心より思慕できる師匠がいた、というのはクリエイターにとっては幸福なことだった、と思うのだ。

見どころ、とうたっているのが、ルノワール、梅原両者の描く「パリスの審判」。
梅原はルノワールへのオマージュ、ということでこの題材を選んだらしい。
この当時はもう梅原流のタッチになっているので、師匠の絵とはテイストがずいぶん違っているが、若いころの梅原作品は、もろルノワールに傾倒したあとが見られる描き方だ。

わたしは「大家」である、晩年の梅原氏の肖像しか知らなかったが、若いころはけっこうチャラい感じだ(^^;
ボンボン然としている自画像もちゃんと残している。

いちばんわたしが気に入ったのは裸婦像だが、これは輪郭を緑がかった線で描き、そのことで肌に日光があたって輝いているさまを、繊細に表現。色の使い方がうまい、と見入ってしまう。
(12月21日)


さて、翌日は午前中、友人のブログで開催を知った、国立科学博物館の「ラスコー展」を観ることにした。
宿泊先の茅場町からのんびり東京駅まで歩いて、帰りの新幹線の切符を買い(その新幹線で、沿線火災によりカンヅメ状態になったのは、先日のmixi日記で書いた通り)、山手線に乗って上野へ。
在京中、幾度も「内回り」「外回り」を間違えて乗ったことを思い出す。

我々のご先祖さまが芸術表現をはじめておこなったことで知られる、フランスの「ラスコー洞窟の壁画」。
実物大の洞窟を再現し、描かれた動物たちも精緻によみがえらせた。

牛、馬、バイソン、鹿などが壁画に登場。
題材に選ばれた、というのは身近にいて、ご先祖さまたちが狩猟の対象にしていたからだろうが、鉱物をすりつぶして色のバリエーションをつけ、「描画」と「線刻」、つまり動物の毛などを使った筆で彩色する手法と、石器で刻む方法とを併用していたという技法には驚かされる。

暗い洞窟の奥でどうやって描いたのか? と思うがどうやら「ランプ」を使用したらしい。
岩などを削って持ち手とくぼみをつくり、そのくぼませたところに火をともす。
火は動物の油を燃やした、というから、その創意工夫にもやはり驚く。

しかしながら、ただ生きるのみにあらず、芸術表現を残さずにはいられなかった「クロマニヨン人」は2万年ほど前に出現しているが、それ以前の「ネアンデルタール人」とは著しく違う。
なにが彼らの「知性」を、格段に上のステージに押し上げたのだろうか?
クロマニヨン人は「針と糸」を発明し、縫う、というこれまた格上のステージをクリアして、毛皮を衣服につくりかえやすくした。
そのことが生活向上に相当寄与したのは言うまでもない。
ちなみに「針」は骨を細く砕いて作製、糸は植物繊維?と思ったら動物の腱を使ったという。

ポケモンGOで言えば、レベル1から、いきなりレベル30までに飛躍するようなクロマニヨン人の革命的生活。
だもんで、「宇宙人が地球にやってきて、ネアンデルタール人の脳を改造して、知的に高度な別人種を作り上げたのだ」なんてトンデモ説がうまれたりもするのだ。
(12月22日)
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