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2016年12月21日21:06

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逃げるは恥だが役に立つ

 お互いに問題を抱えた男女が「夫=雇用主」「妻=従業員」という契約結婚をし、それを周囲に秘密にしつつも、少しづつ絆を深めていくというラブ・コメディ、「逃げるは恥だが役に立つ」。

 近年出色のドラマでありました。

 ある秘密を持つカップルと詮索好きの周囲とのせめぎ合いという設定に、往年のラブコメ「奥さまは18歳」に似たものが見えなくもないですが、「逃げ恥」は登場人物の行動原理にかなりヒネリを加えており、笑いの中にある種のサスペンスを生み出しております。

 IT企業のシステム・エンジニア、津崎平匡と派遣切りに遭って現在無職の森山みくり。
 
 この二人の共通点は、とても聡明でスマートで、機転が利くということ。
 本作の面白さは、この「頭の良い」二人が、その有能さのために余計な勘違いを繰り返し、なかなか気持ちが噛み合わない、というところにあります。
 先述した「サスペンス」は、まさにそこから発生しているのです。
 うまくいきそうで、いかない。
 あ、そこでそれ言っちゃうか? 
 ああもう、そこはもう一歩踏み出せよ! 
 このもどかしさ、焦燥感。これこそがラブコメにおけるサスペンスなんですね。
 一つ屋根の下で暮らしていて、とてつもなく物理的な距離は近いのに、やってることは堂々巡りのすれ違い。相手の気持ちを深読みしすぎて、妄想を膨らませすぎて、なかなか気持ちが結びつかないことのおかしさ悲しさ。
 このプロセスが奇跡的なまでにうまくいっているので、平匡とみくりの心の距離が縮まった瞬間、視聴者はえも言われぬカタルシスを味わうことになります。

 脚本の巧みさもさることながら、主演の新垣結衣と星野源の嫌味のない、そこはかとなくおかしな芝居もまた、本作の成功に貢献してますね。結婚生活というものをやたらと論理的に考察し、システマティックに運営するという珍妙さを無理なく醸し出すことができたのは、この二人の功績でしょう。

 時折挿まれる有名テレビ番組のパロディ、愛すべき脇役たち、そしてアクチュアルな社会問題など、見どころ満載だったこのドラマがもう終わってしまったというのが、なんとも寂しい限り。
 こんな気持ちになったのは3年前の「あまちゃん」以来ですね。
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