昨日、自宅のTVでアメリカ大統領選挙の開票速報を見ていて、お昼過ぎ、「オハイオ州をトランプが取った」というニュースに、
「ひょっとしてこのままトランプが勝ってしまう? えっ、まさか・・」
とイヤな予感がしたが、恐れたことがそのままになってしまった。
彼が大統領選に名乗りを上げたとき、「しょせん、泡沫候補ですぐ撤退する」と多くの人が思っただろうに、1年半後、当選してしまうなんて、悪い冗談なのか。
彼の勝因、ヒラリー・クリントンの敗因については各メディアで論じられているし、わたしはここでは書かないけど、よくよくかえりみれば、トランプを大統領に選んだアメリカがけっして特殊な国でもないように思う。
だって、すでに日本には「トランプ」が居た。
元首相の麻生太郎など「無知で無教養、不見識、暴言を吐く」という点で「日本のトランプ」みたいなもの。
元都知事の石原慎太郎も、わたしから見れば「なんであんな品性のないヤツが圧勝するんだろう。東京都民はなに考えてんだろうね」とずっと思っていたものだ。
トランプの当選が決した11月9日は、27年前、ベルリンの壁が崩壊した日だった。
あの日、わたしは会社から帰ると、狭いアパートの部屋の14インチのテレビにかじりつき、ニュース画面に見入っていた。
キューバ危機の年に生まれ、子ども時代が東西冷戦真っ只中だったわたしにとって、「ベルリンの壁がなくなる」なんてことは、生涯ありえないことだろうとずっと思っていた。
それが変わった。
その後の東欧の雪崩を打った民主化の流れに、
「これで世界はいいほうに動いていくのだ」と、わたしは単純に喜んでいたものだ。
27年後、皮肉にも「メキシコ国境に壁を作る」と公言する、米大統領の登場を見ることになったのだ。
人間は理性ではなく感情で動く。
イギリスのEU離脱の国民投票もそうだったが、
「誰かのせいで、自分は損してるんだ」という損得勘定は激烈なものにつながりやすい。
難民の流入のせいで、生活が悪くなった、というふうに。
今回の大統領選挙でも、民主主義の限界を感じたが、議会制民主主義における選挙ってそもそもが人気投票みたいなもの。
トランプは特殊でも異端でもないのかもしれない。
とはいえ、わたしがアメリカ人なら「もう、カナダに移住する!」とか思ってしまいそうだ。
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