★洋ちゃんの読観聴 No. 1168
美術展 「クラーナハ ５００年後の誘惑」
ドイツ・ルネサンスを代表する画家の一人、ルカス・
クラーナハの展覧会が国立西洋美術館で始まった。
クラーナハは１４７２年生まれ、１５５３年に没した。
１６世紀前半に活躍した人だからルネサンス後期の
画家と言ってよい。
実は僕はクラーナハが好きで、数年前にここで
『西洋絵画１００選』というシリーズで僕の好きな
画家１００人を紹介した際にも、早めに彼を紹介
したぐらいだ。
ルネサンスと言えば、まずダヴィンチやミケランジェロ
などのフィレンツェ、それからティツィアーノなどの
ヴェネツィア、そして同時期ながら別の発展をとげた
ヤン・ファン・エイクなどのフランドルが語られる。
ドイツもフランドル（現在のベルギー）と同様に北方
ルネサンスに入ると思うが、デューラーを別にすれば、
あまり著名なアーティストがいないので、西洋絵画の
書籍や講義ではドイツ・ルネサンスは割愛される
ことが多い。残念である。
クラーナハの作品、特に肖像画は特徴があり、
海外の美術館に行けば、遠くからでもすぐに
彼の作品と分かる。特に女性の顔とスタイルが
個性的なのだ。
今回の展覧会では全９０作品くらいだが、デューラー
などクラーナハ以外の作品も３０くらいあるので、
クラーナハと彼の工房による作品は６０くらいにのぼる。
構成が分かりやすくなっていて、�ゝ楪邁莢隼�代の
宗教絵画と貴族、�⊂啻�画、�Ｈ撚茵↓ね臑良集宗�
�ソ�のちから、��宗教改革となっている。
この大画家の多芸・多彩ぶりがよく分かるが、やはり
ハイライトは女性を描いたものだ。�い砲�ける
『ヴィーナス』や『ルクレティア』といった小品でも、
小顔と小さめの乳房、くびれたウエストという彼の
特徴が見られる。
だが、なんといっても圧巻は�イ離魁璽福爾任△襦�
『サムソンとゴリラ』、『ヨハネの首を持つサロメ』、
そして『ホロフェルネスの首を持つユディト』（写真）
こそは彼の真骨頂だ。冷静な表情と力強さ、こんな
女性を描いた人は同時代ではいない。どんな状況でも
女は強い、そして怖いと思う男は多いのではないか。
�イ任蓮愽堋犢腓い淵�ップル』という風俗画もいいし、
�Δ任禄ゞ飢�革のルターとの親交ぶりも見られる。
展覧会のタイトルの「５００年後」とは、宗教改革が
始まって５００年という意味だが、そんなことより
５００年経ってなお魅了される彼の女性たちは
今日なお男たちを誘惑する。
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