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2016年10月27日16:03

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☆洋ちゃんの読観聴 No. 1167

☆洋ちゃんの読観聴 No. 1167           

柚月裕子 「狐狼の血」                  

この作家は10年くらい前にデビューし、主に
検事を主人公とした作品で好評を博した。
その後、主人公を検事から一般人へとシフトし
数作品を著したが、これらの作品は僕は評価
していない。ちょっと勢いがなくなったきたなあ
という印象だった。人物像がぼやけていたし、
出版社からの注文にやむなく応えて書いている
気がしたものだ。

ところがである、昨年出版された本書は、それまでの
不振が嘘のような快作と言っていい。

これまでも著者は主人公は違えど犯罪小説を
書いてきたが、本格警察小説はたぶんこれが
初めて。

ときは昭和60年代前半、場所は広島県のある町。
この町の警察署に配属された若い日岡は新米刑事だ。
彼の上司になったのはベテランの辣腕刑事の大上。
この大上という男、数々の賞を受賞した優秀な刑事
ではあるが、署内での評判はよろしくない。違法行為も
あるし、ヤクザとの腐れ縁も噂されている。そんな
大上の挙動に驚きながらも、彼の指導を受ける日岡は
次第に彼のプロの仕事にほれてゆく。

彼らが担当したサラ金社員の失踪事件は、裏に
暴力団が絡んでいることがわかってくる。それ以外の
銃の発砲事件も重なり、暴力団の抗争が激しさを
増してゆく。

日岡と大上の人物像がクリアで、読者は日岡になった
つもりで彼と大上との行動を次から次へとともにする
ことになる。脇役の小料理屋のママや大上と親しい
暴力団幹部もキャラが立っている。

警察官の汚職もからんでおり、横山秀夫が好きな
人には絶対のおススメだ。

この作家は東北の片田舎に住む主婦なのだが、
どのようにしてこのような作品を創ることができるのか、
ほんとうに不思議だ。



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