mixiユーザー(id:16255101)

2016年08月10日21:00

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グラズノフ:叙情的な詩

オーボエのロングトーンに弦がかぶさって開始する。まさにだだっ広く何もないロシアの荒野を感じる。遠くには山陰があり、木立ちもあるのだろうがとにかく一面雪に埋まっている。中間部では雪の中から昔の思い出が飛び出してオーロラを見るように展開する。咽ぶほど望郷の念が強い。どんな境遇の中を通っても怯まずに歩んで来た淀みない命の源泉のように時の谷間を流れがハープの響きに窺える。金管の活躍も熱を帯びだして情熱的な高まりを見せる。世紀の恋が実らずに分かれざるを得なくなった二人の複雑な事情とそれでも別れがたい感情の高まるシーンにふさわしい。悲劇だからこそ美しい音楽に誘われて妄想は膨らむ。終結部は平和に満ちた表情で曲を閉じる。

ヨーロッパに一歩遅れてスタートしたロシアのクラシック音楽界。ヨーロッパを重厚な後期ロマン派と十二音技法が牽制し合う中で、ロシアではなおもこんなに清楚で時代遅れの音楽が書かれていた。チャイコフスキーの芳香を残す知られざる小品。目立つほどの独創性があるわけではないが、知られざるままにしておくのも惜しいと思う。《Aleksandr Glazunov(1865.8.10 – 1936.3.21):Poème lyrique, op.12》




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