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2016年07月07日21:54

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わたしの投票初体験

わたしが選挙権を得て間もなく、知事選挙があった。

当時、大学生のわたしは住民票を実家に置いたままにしていたので、春休みで帰省中に投票に行った(もっともこれは昨今、「生活の実態のない所の投票はダメ」ということが言われており、本来ならば大学に通っていた熊本市に住民票を移しておくべきだったのだが)。

その当時の保守系の現職知事は5選目をめざしていたが、建て替えた知事公舎がやたら豪華すぎることで批判の的になっていた。知事公舎の備品ひとつとっても、むやみに高級品を使ってる、とのマスコミ報道もあって「県民の血税をムダ使いしている」と日に日に批判の声が強くなる。

今では選挙の世界では「保革伯仲」とか「保革対立」という言葉は、すっかり死語と化しているが、かつては東西冷戦時代のイデオロギー対立を背景に、日本でも「革新自治体」がそこかしこに生まれ、東京都(スマイル美濃部ですね)、大阪府、京都府なども革新系の知事だった。

福岡県も戦後、革新系知事だった時代もあったが、保守系の知事に代わり、野党第一党の「社会党」(社民党の前身)の低迷に合わせるように、わたしが高校生の頃にあった選挙では、保守系現職が革新系の対立候補に大差をつけて当選。わたしはそのとき「ダブルスコア」という言葉を知ったほどだ。それぐらいの票差だった。

だからいくら県民や野党からの批判が強くても、対立候補が現職に勝つのはむずかしそうにも思えた。革新系がたてたのは九州大学の社会思想史の教授だったから、保守側は「学者に何ができる」と揶揄していた。基礎票を考えれば、保守系有利は固いはず、だったのだ。

わたしは批判も込めて、革新側の候補に投票。
記念すべき、わたしの人生初めての投票だ。

ところがその夜、開票速報をTVにかじりついて見ていると、現職と革新系候補が、文字通りのツバぜりあいの大接戦になっている。
まさに予断を許さない状況。
わたしは夜中までTVの中継を見ていたが、12時を過ぎても当確が出ない。
仕方なく、その夜は結果を見ることなく眠ったのだが、翌朝、革新系候補の当選を知った。
得票率は革新51%、保守49%で、先般の英国ユーロ離脱or残留の国民投票のような接戦の末の当選であった。

開票が終わって、TVに写し出された票数を見たとき、
「自分の投票した1票がこの中に入ってるんだ」と、感慨を覚えた。
そして、ひっくり返せないと思われた固い保守地盤が、有権者の怒りでひっくり返ったことに、
「投票で世の中を変えられるんだ」と単純に感激した。
ある意味、それは非常に幸福な投票体験だったかもしれない。

その後数多くの選挙の投票におもむいたわけだが、どうもわたしは「死票」になることのほうが多いようだ(今回の参院選もその可能性大)。
それでもヤケにならずに、せっせと投票所に出向いているのは、大学2年のあの原体験があるからかもしれない。

余談だが、その知事選挙、投票終了直後、女性の投票率が高かった、と聞いて当時の自民党幹事長で選対部長の田中六助がすぐ「負けたな」と選挙事務所で喝破したという。さすがである。
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