新橋演舞場にて、熱海五郎一座公演「熱闘老舗旅館 ヒミツの仲居と曲者たち」観てまいりました。
ご存知ない方のために説明しますと、この熱海五郎というのは座長の三宅裕司の変名。伊東四郎に倣ってつけた名前なんですね。
この一座が新橋演舞場に進出して、早や三年。今回も底抜けに楽しい、最初から最後まで観客を笑わせることにのみ腐心した、極上のコメディを提供してくれました。
箱根温泉を舞台に、次期サミットの会場誘致をめぐってつぶれかかった老舗旅館と新興ホテルが熾烈な戦いを繰り広げるドタバタ劇なんですが、はっきり言ってストーリーを紹介するなんて野暮というもの。一応ミステリとしての要素もあって面白いおハナシではあるんですが、ここはやはり出演者の芸達者ぶりを絶賛したいのですよ。
毎度素敵なゲストを招聘するこの一座、今回は松下由樹と笹本玲奈を迎え、彼女たちのコメディエンヌとしての魅力を遺憾なく引き出しておりました。
特に、松下由樹。藤純子ばりの殺陣を披露したかと思えば、まさかまさかのタップダンス。しまいには笹本玲奈とのデュエットまで。しかも・・・、こちらの想像をはるかに凌駕する超ボケぶりを見せてくれるのですよ。
これまでにも沢口靖子や真矢みき、大地真央などもこの一座ではとんでもないボケ芝居を見せていましたが、松下も負けてないですね。けっこう自虐的なギャグがあったりするんですが、それらも嬉々としてこなしておりました。立派です。
笹本玲奈はもう・・・さすがとしか言いようがないですね。マイクなんかいらないんじゃない?と思うくらいの素晴らしい声量と、キレッキレのダンス(バックダンサーのSETのメンバーもすごくレベル高い!劇団四季にも負けてない!)。目の保養、耳の保養とは、まさにこれでしたな。
渡辺正行、ラサール石井、小倉久寛、春風亭昇太と、一座のメンバーは相変わらずなんですが、今回特におかしかったのは昇太師匠。なんたって、旅館の女将さんの役ですからね。つまり・・・全編にわたって女装なんですよ。これだけで、もう、笑わずにいられないでしょう?
で、案の定なんですが、「笑点」ネタのギャグも盛り込まれておりました。
カーテンコールで昇太師匠が言ってたんですが、例の司会の話、二月にはもう決まってたらしいですね。でも局からはきつく口止めされてたとか。それをしつっこく聞き出そうとしたのが、渡辺正行。で、師匠はしかたなく「まあ、ボクっていう可能性もあるんですけどね」と答えたらしいのですが、それを聞いた渡辺リーダー、大声で「ないない!それはない!」。
この話に、お客さん大爆笑でした。
熱海五郎一座の芝居は毎回「時事ネタ」もふんだんに披露してくれるんですが、今回はサミットと都知事の公私混同問題に鋭くメスを入れて(?)ました。
実は今回の台本が出来上がったときには舛添某の問題は発覚してなかったんですが、公演直前になって皆さんご存知の状況になってしまい、しかも芝居の中に神奈川県知事が登場するものですから大幅に書き換える事態になったのだそうです。
演出の三宅裕司曰く「現実が面白すぎて、ついていくのが大変です!」。
このところ、ちょっと気分の下がるようなことばかり続いていて、どうにも気勢が上がらなかったのですが、この芝居のおかげで、ちょっと元気が出ました。やっぱりエンタテインメントの力って凄いなあ。
来週はPerfumeのライヴもあるし。ちょっとくらい嫌なことがあったって、我慢我慢。
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