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2015年09月04日09:38

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北京の青い空と「大閲兵」

昨日は北京で「抗日勝利70周年軍事パレード」がおこなわれ、TVのニュースでも繰り返し映像が流されていたが、やはり思うのは、

「全体主義国家ってホントにマスゲームとかパレードとかが好きなんだなあ」
と言うことだ。

一糸乱れぬ隊列、というヤツですね。
いいじゃん、一人ぐらい間違えてもさあ、というのが許されない世界。

あれを美しい! と賞賛するのか、息苦しい、と思うのかで、人間の考え方が二分されるように感じた秋の日。
配偶者は皮肉交じりに、「抗日勝利って・・・ほとんど日本軍と戦闘してたのって国民党軍やんか」
とつぶやいていた。

スモッグで曇る北京の空を青空にすべく、パレードの前から工場の操業を止めたり、涙ぐましいまでの「裏工作」をやった結果、梅原龍三郎の「北京秋天」のような青空のもとで「こんなに立派な兵器持ってんだぜ」的な国威発揚には成功したようだ。
習近平があえて中山服を着ていたのも、ナショナリズムに訴える意味合いを考えてのことだろう。

わたしは43年前(もうそんなになるのか・・)の北京を思い出していた。
日中国交回復がおこなわれ、田中角栄首相が毛沢東や周恩来と会談。
(このへんの人物をリアルタイムで覚えているなんて、すでに自分は「歴史の証人」に入ったんだな、という感慨がある)。
あのとき、TV中継で見た、抜けるように青い北京の空が、余りに美しかったのをいまでもありありと覚えている。

当時のわたしは9歳。一番好きな外国はアメリカでもフランスでもなく中国だった。
子どもの意識って、オトナの世界が簡単に反映される。
1972年は日中国交正常化でまさに世は、中国ブーム。
そしてパンダの大ブーム。
かわいいパンダちゃんのいる国、ということで単純に中国は大好きな国だったのだ。
わたしは広告の白い裏紙を使ってお手製の「パンダ事典」を作った。
お陰で9歳にして「甘粛省」という漢字が書けた(笑)。
もちろん、野生パンダ生息地である。
現在の「中国脅威論」「中国嫌い」が蔓延する世情とは、正反対だったのだ。
当時の仮想敵国はなんといってもソ連だった。
そのソ連という国はすでになく、友好国、だったはずの国の中国をいまや多くの日本人が冷ややかな目で見ている。

ところで、陳凱歌(チェン・カイコー)監督の「大閲兵」という映画をご存じだろうか?
中国建国35周年の閲兵パレードのため、来る日も来る日もパレードの訓練をする兵士たちの物語である。
足の上げ方の角度、歩幅まで細かく決められ、間違いが許されない。
その訓練は非人間的、とも言えるほどだ。
そして「非適格者」については、本番のパレード参加から排除することになる。
指導教官は、長い訓練に耐えて来た兵士にそれを通告しなければならない。
しかもその兵士は、かつての戦友だった。そのため教官はどう告げるべきか葛藤するのだが・・。

きょうのニュースを見ながら、映画「大閲兵」を思い出し、幼いころに見た北京の空がよみがえった。
田中角栄が「日本側は、過去において日本国が戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省する。」と共同声明を発表した時、幼いわたしはひどく感動したのを思い出す。これで中国とほんとうに仲良くなれるんだね、と思ったからだろうか。
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