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2015年07月09日08:33

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読書日記No.837(目の見えない人は世界をどう見ているのか)

■伊藤亜紗「目の見えない人は世界をどう見ているのか」2015年4月光文社新書

福岡伸一さんの帯に書かれたフレーズが目に飛び込んできて、手に取った本。

早速、その福岡さんの帯フレーズを紹介。

“驚くべき書き手が登場した。
<見えない>ことは欠落ではなく、脳の内部に新しい扉が開かれること。
「見る」ことそのものを問い直す新しい身体論。”

福岡さんのワーディングは、魂に触れますね!

ダイバーシティーという言葉が、流行語のようになっている昨今、まさに時宜を得た
本で、今まで深く考えたことがなかった、視覚障害者の世界が垣間見れた。

惹句も紹介しちゃいますね。

“私たちは日々、五感――視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚――からたくさんの情報を
得て生きている。なかでも視覚は特権的な位置を占め、人間が外界から得る情報の
八〜九割は視覚に由来すると言われている。”

“では、私たちが最も頼っている視覚という感覚を取り除いてみると、身体は、
そして世界の捉え方はどうなるのか――?”

“ 美学と現代アートを専門とする著者が、視覚障害者の空間認識、感覚の使い方、
体の使い方、コミュニケーションの仕方、生きるための戦略としてのユーモアなどを
分析。目の見えない人の「見方」に迫りながら、「見る」ことそのものを問い直す。”

著者の略歴は以下。

1979年東京都生まれ。東工大准教授。専門は美学、現代アート。
もともと生物学者を目指していたが、大学3年のとき文系に転向。
主な著作に、「ヴァレリーの芸術哲学、あるいは身体の解剖」。

章立てと小見出しの抜粋も紹介。

序章 見えない世界を見る方法
 ・自分と異なる体を持った存在のことを、実感として感じてみたい
 ・自分にとっての「当たり前」を離れる
第1章 空間―見える人は二次元、見えない人は三次元
 ・私が情報を使っているのか、情報がわたしを使っているのか
 ・見えない人にとっての「富士山」と、見える人にとっての「富士山」
第2章 感覚―読む手、眺める耳
 ・「見る」は目の専売特許か
 ・耳で「見る」、目で「聞く」、鼻で「食べる」、口で「嗅ぐ」
第3章 運動―見えない人の体の使い方
 ・見えなくなってからかえって転ばなくなった
 ・「自立とは依存先を増やすことである」
第4章 言葉―他人の目で見る
 ・「ぼくたち盲人もロダンを見る権利がある」
 ・ソーシャル・ビューの面白さ
第5章 ユーモア―生き抜くための武器
 ・回転寿司はロシアンルーレット
 ・障害とは何か

まぁとにかく、目からウロコの話題がざくざく。

それは、この若き書き手の、問題意識や視点が新鮮で優れていることの
証でもある。

帯とは別に、最初の扉に福岡さんの賛辞があったので、最後に紹介。

“<見えない>ことは欠落ではなく、脳の内部に新しい扉が開かれること。
テーマと展開も見事だが、なんといっても、やわらかで温度のある文体が
すばらしい。驚くべき書き手が登場した。”

このテーマに興味がある人には、おすすめです♪
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