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2024年04月29日19:13

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読書日記N o,1612(なぜ脳は存在するのか。究極の知的冒険)

■池谷裕二「夢を叶えるために脳はある」2024年3月講談社刊

副題は、”「私という現象」、高校生と脳を語り尽くす”

私の道楽読書のメインテーマのひとつに、人間とは何だろうか、という尽きせぬ興味
があって、脳科学や生命科学の本もよく手に取っています。

著者でいえば、養老孟司さんや福岡伸一さんが馴染んでいる方々ですが、もうひとり
印象に強く刻印されているのが、東大の脳科学者・池谷裕二さんです。

養老さんや福岡さんは、研究の方は一線から離れていますが、1970年生まれの池谷
さんは、最前線の研究をされながら、一般読者にも成果を還元したいという、強い思い
がおありになって、こうして一般向けの本もよく書かれています。

本の内容は、ゾクゾクするような面白さで、今回も期待にそぐわずというか、期待を
はるかに超えて、知的刺激に満ちた本でした。

それでは、惹句を紹介します。

”累計43万部突破!ベストセラー『進化しすぎた脳』『単純な脳、複雑な「私」』
に続く、高校生への脳講義シリーズの最新刊がついに刊行。”

”なぜ僕らは脳を持ち、何のために生きているのか。
脳科学が最後に辿り着く予想外の結論、そしてタイトルに込められた「本当の意味」
とは――。”

”なぜ脳は存在するのか、僕らはなぜこんなに大きな脳を持ってしまったのか、時間
はなぜ存在するのか、この世界は現実なのか、人工知能にとって人間とはなにか、
私とはなにか――”

”数々の問いを巡らせていくと、全てがつながり、思いもよらない答えを導く。
人気脳研究学者である著者が、3日間にわたっておこなった圧倒的迫力の講義録。”

”「いま一番思い入れがあって、一番好きな本」と自らが語る、渾身の一冊。
本書でシリーズ完結となる。”

【主な内容】は、以下のようなことでした。

”・他者と共有できる経験は現実だ、の落とし穴
・脳に眠った能力を覚醒させる
・身体を使った経験がないと「見える」ようにならない
・記憶力が良くなると、時間の流れが変化する?
・同調圧力で、見える色まで変わってしまう!?
・「○○されるのが怖いです」── 人工知能の告白
・「気の利かない人」になるには気づいてしまったらダメ
・生命が存在しない星になにか不都合はあるだろうか
・「親」も「私」も実体ではなく現象
・シナプスの「パレート則」──脳、おまえもか
・仮想的生命に心が芽生えたとき、殺してよいか──仮想倫理学
・この世界のシミュレーションを始めたのは誰だろう ……ほか”

目次と小見出しの抜粋を、少し多くなりますが、紹介します。

■講義・1日目 脳は夢と現実を行き来する
・夢と現実  私は「私」を証明できない。私って誰だ?
・心と脳  心と脳、同じか違うか 心脳問題
・脳の潜在力  脳に眠った能力を覚醒させる
・つながる脳  脳がつながると見える世界
・記憶の呪縛  僕らは記憶の中でしか思考できない
・感じる時間  なぜ時間は存在する?時間はどこに向かって流れる?
・曖昧な記憶  今感じているこの世界は本物だろうか
・生きている実感  私って誰だ?ふたたび
・物語と夢  ヒトは物語をつくらずにはいられない
■講義・2日目  人工知能がヒトの本質をあぶり出す
・曖昧な境界  脳をつないで感覚を共有する
・理解の概念  ヒトにとって「わかる」とはなにか
・人工知能二元論  ディープラーニングの中身はどうなっているか
・人工知能とヒトの能力  人工知能の原理がヒトにはさっぱり理解できない
・科学と脳の限界  科学的に都合がいいから地動説が正しい
・ヒトらしさの誤解  ヒトの輪郭は人工知能によって明確になる
・能力の多様性  人工知能に欠けているのは「思い込み」の能力
■講義・3日目  脳はなんのためにあるのだろう
・脳を刺激する美  バーチャル俳優は現実の夢をみるか
・乱れる秩序  秩序あるものはいつか崩れるのが、宇宙の大原則
・自由は錯覚  光は光っていない、脳が解釈しているだけ
・感知できない世界  脳を使っている限り、閉じたループから抜け出せない
・知能の仕組み  ヒトは対数で変化を感じる
・脳の存在理由  地球の覇者は脳を持たない生き物たち
・脳の無限ループ  自分が「脳」になったらどんな気分か想像してみる
・私という現象  「私」は実体ではなく現象
・仮想と現実  ナトリウムイオンの流れに浮かぶ仮想現実としての「私」
・生命の原則  神経細胞の発火はナトリウムイオンの流れだった
・真実の相対性  「エントロピー増大則はヒトが作ったもの」ということは

このシリーズの前作「単純な脳、複雑な私」を読んで感動したのは、2009年なので、
もう15年前になってしまいました。↓

https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1216200976&owner_id=5540901

本書は、この15年間の知見も、ふんだんに取り入れられています。一番進んだのは
人工知能関係でしょうか。

本書は,650ページを超える大書でしたが、毎日100ページほど読んで、一週間かか
って読み終えることができました。

まさに、知的冒険でした。
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