ある意味で妖気を感じるようなマリンバの五音音階のトレモロで始まる。古の日本の幻影を映しながら音楽が進行する。雅楽的な響きを全面的に取り入れているためそれぞれの楽器はハーモニーよりもソロの集合体のように刺激的に反応し合って新しい音響を生み出していく。木管楽器がグリッサンドで醸す笛の音はどうしても浮世絵以前の古い時代を連想してしまうが、音楽は場面が移り変わって進行するのは展覧会場での雰囲気が内包されているようだ。単純な日本風ではなくホヴァネスの家系の祖国アルメニアの旋律も巧みに取り入れているようだ。現代音楽的な騒々しさを潜り抜けて和太鼓を模した打楽器のリズムに乗ってフィナーレに入る。純和風ではありえない音楽だが、聴き終えると最初のおどろおどろしさは消えていて、清涼感が残る。この曲はホヴァネスが北斎や広重の絵を鑑賞したことがきっかけとなって生まれた作品のようだが具体的に絵の印象が伝わってくるわけではない。しかし日本の声楽家と結婚したこと、日本に滞在して日本の伝統的な音楽を学んだことでかなり深い興味を持って取り組んだようだ。本来はシロフォンと管弦楽のための作品だが演奏効果が格段に優れたマリンバの独奏による協奏曲風に扱われることが多いようだ。和楽をイメージした外国人の手による作品も少なくないが、僕には純古典よりも興味をそそられる。《Alan Hovhaness(1911.3.8 – 2000.6.21):Fantasy on Japanese woodprints, op.211》
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