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2014年12月18日21:51

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パーカー:ヴァセック

少し不気味な雰囲気のある短い導入の音楽に続いてせわしない管楽器の動きに掻き立てられるように冒険譚に旅立つ様子が描かれる。ヴァイオリンがソロで奏でる旋律は美しい幻影のようにはかなく消える。激流に翻弄されるように大きく盛り上がったと思うと霞の国に投げ出されたような雰囲気になり葛藤に揉まれながらも孤独の道を踏み出して行く姿が映る。随所に表れるヴァイオリンの旋律が輝いていて曲に好感を呼ぶ。音楽にアラビア風な旋律も悪魔的あるいは官能的な雰囲気も希薄だが興味深い作品ではある。ヴァセックは絶大な権力を持つアラビアの教王的な青年。官能に溺れた豪奢な生活をしていたが万人が跪く君主としても飽きたらなくなる。全能を極め、未来を知る力を与えると言う地霊の誘惑に乗り国教を捨て50人の幼児を殺し最後には地の底深くに広がる魔界へたどり着く異教的な物語。当時は神をも畏れぬ冒涜的な内容とスキャンダルを呼び起こした。作者はイギリス人ウィリアム・ベックフォードで当時のロンドンで一番の富豪と言われ、世俗的な労働に関わることなく生涯を過ごした。両性愛のスキャンダルは絶えず、希覯本や美術品の収集に熱を入れ、蒐集し整理された膨大な量の同性愛に関する切り抜きは現在図書館に収蔵されている。晩年は人間嫌いとどうしようもない奇人のようだが、音楽の才能に恵まれ、アラビア語をはじめ数ヶ国語を自由に話し、建築学を修め、英国下院議員にもなっている。「ヴァセック」は22歳の時にフランス語で発表されている。話しを音楽に戻す。作曲者パーカーは1919年12月18日、56歳で亡くなったアメリカの作曲家。門下生にアメリカの20世紀の音楽を担った人は多いが、パーカーの曲はメンデルスゾーンやブラームスの影響を脱していない評価され、今日では忘れられた作曲家となっている。≪Horatio Parker:Vathek, symphonic poem≫




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