☆洋ちゃんの読観聴　No. 1026

☆洋ちゃんの読観聴　No. 1026　　　　　　　　　　　　　

ピエール・ルメートル　「その女アレックス」　　　　　　　　　　　　　　　

日本だけのことかもしれないが、ここのところ
海外翻訳ミステリーでは北欧勢が席巻している。
しかし、他の諸国の作家も負けじと（？）良質な
作品を発表し続けていることも確かだ。

本書は久しぶりのフランス・ミステリーの傑作。
今年の複数のベスト・ミステリーの海外部門1位に
輝いた作品。それだけのことはある。

パリで30歳の看護婦の女性が誘拐される。　
目撃証言も頼りなく、被害者の関係者からの
情報もない。また、犯人からの身代金要求なども
ない。

捜査を任されたカミーユ警部率いるチームは
苦労するが、なんとか容疑者を見つけた。そして、
どうやら被害者は容疑者の息子の元恋人らしい。

その後、容疑者の息子の死体が見つかり、ほかに
殺害方法が似た別の未解決事件があることも
分かってくる。どうやら被害者の女は、とんでもない
連続殺人事件の犯人なのかもしれない。

誘拐された女は自分の力で脱出し逃走する。
偽名を使っているので、どこの誰なのか分からず、
警察の捜査は難航する・・・。

最初は、なんということもない犯人追っかけ警察
モノと思ったのだが、いやいや本作品は違う。
このあたりはネタバレなので書けないが、
ひとひねりもふたひねりもある構成になっている。
さまざまな角度から練った作品であり、登場人物の
行動にも合理性がある（フランス人作家らしい）。

お正月休みにお薦めだ。