第1楽章、あれっ、モーツァルトだと思うほど印象的な序奏が堂々と鳴り響く。これだけでこの先の展開が気になるから不思議だ。第一主題の心地好さはこの上ない。春の風が大地を疾走して目覚めの時を告げる。樹木も草原もしゃきっとして胸を思いっきり膨らませて歌い出す。第2主題も優しい陽射しのように暖かい。く繰り返しが多いがさほど気にならない。童話なら旋律に葉っぱを浮かせてその上にひょいと飛び乗って風に運ばれたい気分。スケボーのような快感を味わえる。
第2楽章、蝶の舞の変奏曲という雰囲気がする。管楽器の巧みな使い分けで配色を変え、まるで卵の時代から毛虫になって人に嫌われ、さなぎとなって風に揺れ最後に天使のように変貌する過程を追うように展開する。夢のひと時が過ぎていくような感じのフィナーレがとても可愛い。
第3楽章、短調のせいもあっていささか重いメヌエット。 何事にも屈せずに立ち向う決断が込められている。中間部はオーボエによる励ましの歌。背中にとぼとぼ夕陽を浴びて家路を急ぐ雰囲気を感じる平和なひとこま。冒頭の旋律に戻って、明日は津波に呑まれる運命が待ち受けているかも知れずに何を寝ぼけているのかと叱咤される。現実は厳しい。
第4楽章、リズム・パターンは爽快なのだが曲調は暗い。困難に直面しても挫けることなく足を踏み出して進むエネルギーを感じる。もしかしたら後ろに迫る敵から逃げようと必死になっている「魔王」の世界かもしれない。田舎の凸凹道の走行を楽しむBGMにもなりそうな適度な不安とスリルと不屈の精神が拮抗する。《Franz Schubert(1797.1.31 – 1828.11.19):Sinfonie Nr. 2 B-Dur, D125》
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