静寂から無の存在が発する音がかすかに聴こえて来る。死への恐れや痛みから生まれる幻聴がコーダに向かって次第に高まりついには脳を突き破り減衰する。冒頭のピアニシモの部分は美しく幻想的な音像を作り出している。音楽そのものは終始混沌としていて特定の動機もないようだ。トーンクラスターとは違うようだが空間の隙間にあらゆる音を詰め込んで揺さぶるような面白い効果を生み出している。実はこの曲はカフカの短編小説「流刑地にて」に触発されて書かれた曲だそうだ。囚人の体を針が機械仕掛けで刺さり12時間もかけて死に至らせると言うゾッとしない内容だが、音楽は処刑そのものの描写よりは囚人の内面的な後悔や無念を表しているような気がする。≪Alfred Schnittke(1934.11.24 – 1998.8.3):Pianissimo für grosses Orchester≫
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