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2017年08月15日21:20

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イベール:メトロ

パリに地下鉄が登場したのは1900年、この曲が発表されたのは1931年となっている。創業から30年、路線も本数も少ない時代にどのくらいの利用者がいたのか見当もつかないが、この曲の印象ではすでにラッシュが発生していたようだ。

導入部は何事が起こったのかと思うほどけたたましい。続いて管楽器による警笛、ベルの音は発車の合図だろうか。電車が徐に動き出す。ここまでで、1分ほどの長さだが、どうも汽車のような雰囲気で、地下鉄の電車の走行音とは思えない。加速するに従って暗いトンネルを走っている不気味さも増して騒々しさが頂点に達する。ブレーキが利かなくなった電車の暴走を見るようだ。フィナーレは低弦が恐怖に弛緩したような響きを上げ、次の停車駅は地獄の一丁目かと暗示するように消えて行く。

今日地下鉄網はパリ市内を網羅し、どこにいても500メートル歩けば駅があるとまで言われている。全部ではないが、パリの地下鉄には普通の車輪の外側にタイヤがついているものも多く、独特の走行音を出す。またトンネル内を通過する時には軋む音が頻繁に聞こえるが、そこまでは音楽的描写には入っていないのが残念に思う。

この曲はパリの風物を描いた6曲構成の組曲「パリ」の第1曲目に当る。パリに生まれパリに没したイベールならではの作品とも言えるだろう。《Jacques Ibert(1890.8.15 – 1962.2.5):Le métro, La suite symphonique "Paris" no. 1》




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