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2017年08月13日22:07

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マスネ:組曲第2番「ハンガリーの風景」

覇気の強い出だしで始まる田舎風の踊りが楽しく繰り広げられる。少し垢抜けない感じもするが、元気に働いて、夕食の前のひと時、嬌声をあげながら踊って過ごす、家族を超えた地域ぐるみの連帯の深さを感じさせる。単純だが生活に密着した幸福のあり方に満足している様子が手に取るように覗える。与えられた一日に感謝の祈りをささげて、エネルギッシュに曲を閉じる。打楽器が活躍する爽快さが気持良い。

仄々とした愛の交歓という雰囲気の優しい曲。控え目のハープが鳴る中、恋人との語らいに心は楽しく踊りだしているようだ。これも一仕事を終えた後の夕べの情景だろう。

ホルンが時を告げるように鳴り響く中、弦楽器が新鮮な風がミルクと牧草の匂いを運んで来る。農家の朝は早いが、みんな空を見上げて新しい一日が祝福されることを願っているようだ。パンが焼ける匂いもまるで天使の食卓に招かれたような幸せな気分をもたらしてくれる。短いヴァイオリンのソロの旋律は窓辺に座る乙女が梳く髪のように清純だ。冒頭の堂々とした序奏に似たフレーズが回帰して力一杯ハープのアルペジオを伴う弦楽が誇り高きハンガリーの威光と祖国の美しさを讃えるように鳴り響く。中世頃から列強国に翻弄されて来た国だが、国としての歴史は千年を超える。多民族国家だが、皆ハンガリー人としての並々ならぬ誇りを抱いているようだ。

終曲ではますます高揚し、テンポも速くなり、狂乱に近い喜びに溢れる音楽が展開する。かつて剣を掲げて大草原を巧みな手綱さばきで馬を駆った雄姿のような、慄然とした勢い持続してフィナーレを飾る。

タイトルでハンガリーと謳っているが、ハンガリーらしさが直接表現されているようには思えない。それでもマスネらしい洗練された旋律が聴けるのは嬉しい。全体を4部あるいは5部に分けることもあるが、アタッカで繋がった単一楽章の曲と考えた方が良さそうだ。《Jules Massenet(1842.5.12 – 1912.8.13):Suite no. 2, Scènes hongroises》





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