冒頭の8拍に渡るフルートのロングトーンに「耳を澄ませ」との命令がよく表わされている。ソプラノが歌い出すまでの序奏とも言える部分は30小節くらいあり、おそらく自然の中に聞こえる音を模倣しているのだろう。間奏を挟んで声が戻って来てエンディングを歌い上げる。調性的な音楽ではあるが東洋とも西洋ともいえない不思議な音響を楽しめる。
20世紀初頭にアジアでは最初のノーベル文学賞を受賞したインドの詩人タゴールの詩集「果実集め」からほんの一部を用いた歌曲だが、聴けば納得できると思うが、声楽パート付きフルート独奏曲と分類しても良いだろう。また詩の方もオリジナルはベンガル語だが、英語訳を通してフランス語に訳されているので大幅にニュアンスが変わっている可能性は否めない。フルート曲としては割と知られているが声楽曲としてはどうなのだろう?《André Caplet(1878.11.23 – 1925.4.22):Écoute, mon coeur - Corbeille de fruits》
聴け、我が心よ、あの笛の歌う旋律に
野の花の香り立つ音楽を聴け
生い茂る葉は輝き、きらめく水も歌を奏でている
木陰の音楽は、鳥の翼や蜂の羽ばたきからも聞こえて来る
笛は私の愛する自然の唇に浮かぶ笑いを奪って
生涯に渡ってその笑みをどこまでも広げ続けるている
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