キャンパスのベンチに座り、読書に勤しむ少女の姿は絵になりそうだ。強すぎる陽射しはベンチの脇の樹の密生する葉に濾過され、柔らかい光の粒となって降り注がれる。ひとりの青年が教室の窓からじっと彼女を見つめている。シャイな甘いロマンは実を結ぶのだろうか。
そんな雰囲気の単純な旋律が右手で奏される。左手は冒頭からずっと3連符の流れが続く。厳密には12拍子だが、自然な流れに逆らわない方が気持良い。フィールドの発想も音楽自体の流れを大切にしているようで、どこを見てもきれいなのだが構成感が弱すぎて印象に残らない。
ノクターンという音楽形式の創始者ジョン・フィールドの作品を聴いてショパンがこの雰囲気に魅せられて、このタイトルで曲を書こうと決めた理由はやはり音楽に縛りがないせいだろう。ショパンのノクターンはもう少し構造に梁があるが、それでも拍子やテンポなどはフィールドの創意を受け継いで心の響くままに表されていると思う。《John Field(1782.7.26. – 1837.1.23):Nocturne no. 1, in E flat major》
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