mixiユーザー(id:547825)

2026年09月03日20:02

109 view

「左利きの少女」台湾の市井の人々の逞しさ

フォト


台北、夜市の麺屋台。5歳の少女イージンは、借金を背負ったシングルマザーのシューフェンとハイティーンの姉イーアンと共に、生活を立て直すため田舎町から戻ってくる。イージンは昔気質の祖父に、利き手である左手を「悪魔の手」と咎められ、罪悪感を抱くようになる。その悪魔の手は図らずも、家族それぞれが胸に秘めてきた罪をあぶり出していく(〜映画com.より)

麺屋台を切り盛りする母親シューフェンとハィティーンの姉イーアンが、ずっとあまりに不機嫌なので、観ていて疲れます。
借金を背負った上に、別れた亭主の治療費、葬儀代まで担うことになる母親の大変さは分かるが、もう少し家族に優しくしてもいいのじゃないかと思ってしまう。
姉イーアンに至ってはもっとふて腐れていて、年中露出度の高い服を着て檳榔(ビンロウ)売りの店で働き、そこの店長とお手軽な不倫関係を続け、挙句妊娠してしまう。
末娘の5歳のイージンだけは天使のように愛らしいが、母親の実家で祖父から、左利きは許せない、悪魔の手だと言われてしまう。

フォト


台湾や香港の映画を観ていて時々、驚くような迷信を信じる人々に言葉を失くすことがあります。
この春観た台湾映画「サリー」にも風水を信じる叔母が出て来て、ヒロインに寝室を変えろとか、実弟の結婚式にも出るなとか、ウルサイことを言っていました。
本作の祖父も経済的には豊かそうなのに、左利きは悪魔の手だ、直ちに直せと、幼い孫娘に言い渡すのです。
欧米人なんて左利きだらけなのにね!?

フォト

そんな一家が騒々しい夜市の片隅で暮らす様子を、全編iPhoneで撮ったという画面は、実に躍動感があります。
そして母親や姉が不機嫌な理由も次第に分かって来る。
裕福なのに娘を助けようとはしない、長男に家督すべてを譲ろうとする古い家父長制度の実家、そして成績がよかった姉が大学進学をあきらめた理由。
やがて大勢の親戚を集めて盛大に開かれた祖母の還暦祝いで、あっと驚く秘密がイーアンによって明かされるのです。
それは見栄っ張りの祖父母のメンツを、粉々に打ち砕くものだったのでした。

フォト


ラスト、親子三人が切り盛りする夜市の麺屋台で5歳の娘は踊り、三人の楽し気な笑い声が響きます。
古い慣習やしきたりにめげず、互いの過ちを認めながら助け合って生きていく庶民の逞しさに感動し、今までの不機嫌さはここでの多幸感を引き出すための伏線だったのかと。
台北の夜市、旅行した際に訪れました。
何処までも続く迷路のような屋台村、あの喧騒、猥雑さに感動したのですが、臭豆腐などの入り混じった強烈な匂いを夫が嫌がって、長くはいられなかったのでした。
「アノーラ」「フロリダ・プロジェクト真夏の魔法」などのショーン・ベイカー監督の編集・制作、ツォウ・シーチン監督のデビュー作。

公式HP https://cinema.starcat.co.jp/left-handed-girl/

20 16

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2026年09月>
日 月 火 水 木 金 土
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930