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2017年08月11日21:08

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モソロフ:兵士たちの歌

「行進の歌」、スネアドラムの最弱音で始まり、クレッッシェンドで近付いて来る様子を表わしている。疲れきった兵士の隊列ではなく、楽しげな和気藹々とした雰囲気が広がる。戦いに狩り出された農民が一路故郷を目指しているようだ。それで疲れも吹っ飛んでしまったのか、あるいは戻って来る家族を待ちわびる村民たちの喜ぶ姿もフォーカスしているのかもしれない。しかし音楽は山場を築き、次第に減衰しスネアドラムで消えて行く。故郷を越えてどこへ行くのやら。

「故郷の歌」、農民の素朴な暮らしの中で日々感じる喜怒哀楽が溶け込んだ音楽に感傷的な思いに浸らされる。バンジョーのトレモロの中で語られる幻影。そこは貧しく、洗練されてもいない鄙びた所かもしれない。たとえ何もなくても、切捨てられずに心のどこかで繋がっている所、それが故郷なのだろう。

「騎兵の歌」、若い伊達男たちの祝い歌だ。何もしなくても、この輪の中にいるだけで楽しくなってくるだろう。集まれば、つい酒も飲みたくなる。賑やかに杯を交わし、夜の賑わいも終わりがないようだ。

民族楽器をふんだんに取り入れた編成の音楽。それぞれの曲のベースはロシア各地の民謡をアレンジしたものだろう。ロシア臭さは極めて薄いと思う。

モロソフを知る人は殆ど「鉄工所」で衝撃を受けたと思う。それに比べると軟弱な作品が多いのは、反ソビエト思想と因縁をつけられ、中央楽壇から追われ、さらに逮捕され、8年に渡る強制労働の後、奇跡的に生還したが、健康も害していたことによるのだろう。政治的に才能を潰された不幸な音楽家だと思う。また、多くの作品が当局によって破棄された。《Alexander Mosolov(1900.8.11 – 1973.7.12):Soldiers’ songs》




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