ハープの胴を叩く打撃音で始まる。旋律と言うよりは星々の不思議な運行を見ているような気がした。非常に複雑な曲線を描いて、どこもぶつからずに同じ軌道を保っている。人は何も感じないが、実は地球上のあらゆる乗り物よりも速いスピードで動いている。何も聞こえないが、当然強烈な音を出しているはずだ。見えない、聞こえないから存在しないとは言えない事実を提言している。
自分の目で見るまでその存在を疑う人は多い。もちろんそこには虚偽も真実も混じっている。宇宙の形成の神秘を信じることは本当に難しい。ひとついえることは見えるものが全てではないということだ。
ハープ独奏による作品を面白く聴いた。殆ど全ての特殊奏法が含まれているようだ。ハープに対する一般的な優雅なイメージはどこにもないが、聞こうという姿勢がないと耳があっても聞こえない。町の中にも自然の中にも音楽を感じるためには訓練も必要だろうと思った。
目は物を見るが、我々はその眼を用いて物を見る。それでも尚我々は自分の目を見ることも地球が回っているのも見ることもできない。それでも我々は地球に乗って共に回っている。でも誰ひとり回っていると感知することはない。これは彫刻家で文筆家のジャン=リュック・パランのことばの引用。
平義久は2005年3月13日に68歳で亡くなった作曲家。29歳の時にパリへ留学し、それ以来パリに定住し、音楽院の教授職の傍ら作曲活動を続けていたためか日本よりは外国での知名度が高いようだ。もちろん日本の現代音楽ファンにはかなり大きな支持層を得ている。《Yoshihisa Taïra:Sublimation》
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