エストニアは、第二次世界大戦中はドイツに、その後はソ連に占領されていた。
そんな悲しい歴史を持つ小国を舞台にした、実話に基づくヒューマン・ストーリー。
1950年初頭、ソ連の秘密警察に追われる元フェンシング選手のエンデルは
小学校の教師として、田舎町に身を隠す。
小さな貧しい村の家の大半は、男を戦争やソ連の秘密警察に取られており、
みんな息を潜めるように暮らしている。
エンデルは体育を教えようとするものの、施設はボロボロで用具もロクにない。
そんな中、はからずも課外授業でフェンシングを教えることになる。
以前は輝かしく活躍した有名選手であったのに
常に追手の手を恐れて、身を潜めなければならないエンデル。
人生に絶望していたエンデルを変えたのは、フェンシングという新しい競技に
夢中になる、子供たちの輝く瞳であった。
やがて子供たちは、レニングラードの競技大会に出たいと言い出すが
それに出るということは、エンデルにとっては自殺行為であった。
エンデルは最初は断るのだが…
父親を戦争で亡くした少年ヤーン、年老いた祖父とつつましく暮らしているその家の前に
ある日、黒塗りの車が止まる。
激しくドアが叩かれる。
祖父と少年の、息が止まる。
少年の頬を、涙が伝う。
或いは、子供たちに情熱を込めてフェンシングを教えるエンデルを
秘密警察に密告する隣人がいる。
戦争に負けるということは、他国に支配されるということは
こういうことなのだとつくづく思います。
監督があの静かな感動作『ヤコブへの手紙』のクラウス・ハロと聞いて
どうしても観たいと思っていました。
小さな作品ですが、新春に温かい人間愛を堪能できました。
原題「THE FENCER」
http://kokoronikenshi.jp/
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