陳腐とも言えそうな重いピアノの伴奏形に乗ってコントラバスが努めて軽やかに踊っている。ユーモラスな場面が対比の中に鮮やかに映る。「ファウストの劫罰」と「夏の夜の夢」から旋律を借用しているのは周知の事実だが、あえて華やかな曲を選曲したのが象の踊りの滑稽さを強調している。頑張れ、象さん、きれいだよ。コントラバス奏者は四苦八苦しているかもしれない。
日本人なら誰でも知っている童謡「象さんの歌」をつい連想する。あの歌詞の意味はみんなと違うところにも劣等感を持つなというメッセージが込められている。金髪と白い肌の国に黒髪の子がいたら「お前変だよ」と仲間はずれにされかねない。そこで「母さんは日本人だから、これが日本では普通なんだよ」と日本人としての誇りを肯定的に対応できたら、どんなに素晴らしいだろう。象さんの世界では鼻が短いのは不恰好。長いのが当たり前。
この世界は違って当たり前の個性を自分の好みで批判してはいけないと気付かないと人生が問題だらけになる。詳しくは触れないが、童謡の作曲者は團伊玖磨、作詞はまどみちお。《Camille Saint-Saëns(1835.10.9. – 1921.12.16):L'éléphant, Le carnaval des animaux
ログインしてコメントを確認・投稿する