冒頭から8分音符を連打するピアノが気になる。飛びたくても飛べない傷ついた白鳥、そんな痛みを感じる。ほどなくヴィオラが滑り込んで来る。ヴィオラの旋律も十分に悲哀に満ちているが、技巧的に華やかになり過ぎないようにピアノに寄り添いピアノの悲痛な音色をいたわるように穏やかに歌っている。中間部では長調に転じてほっとする明るさが見える。楽しかった過去の追憶に浸っているのだろうか。冒頭の主題を回帰してヴィオラの音域のせいもあって内面的な力のほとばしりを感じる。表面的な慰めは要らない。ただ心の触れ合いを感じていたい。やがて痛みも溶けるはずだ。短いけれど十分に聞かせる重みのある歌だ。《Henri Vieuxtemps(1820.2 .17 – 1881.1.6):Élégie pour alto et piano, en fa mineur, op.30》
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