愛しさと思いやりに満ちた第1主題の柔らかさが存在しているだけで無条件に湧き上がる喜びを表現している。わが子をじっと見つめる子守歌のようだ。第2主題は少しきびきびとした感じで人生の波に呑まれない力を持つように励ましている。時おりピチカートを用いて音楽が叙情に溺れすぎないように効果的にアクセントを付ける。実に見事に後期ロマン派の花を咲かせた作品だ。芳醇な香は永遠に尽きそうもない余韻を残す。後年の作品から来るイメージでウェーベルンには人間的な情感が欠けているように思われがちだがこの作品は結婚を決めた相手とデートをきっかけとして書かれた。実に細やかな人間らしさが著実に表明されていると思う。ウェーベルンはユダヤ人ではないがナチスに頽廃的音楽家とみなされ生前この作品が演奏されることはなかったそうだ。《Anton (von) Webern(1883.12.3 – 1945.9.15):Langsamer Satz》
ログインしてコメントを確認・投稿する