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2015年12月02日21:07

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コープランド:リンカーンの肖像

フルートに提示された主題が楽器を変えて受け継がれていく。トランペットは弱音器をつけて華やかな響きを抑えている。暗い響きの中にも厳粛な雰囲気が覗えるのは国立戦没者墓地の奉献式という場所柄を考えると同時に国のために命を落とした兵士の霊を慰める意味合いもあるのかもしれない。テンポが上がり時代背景を映し出し始める。「草競馬」の旋律の引用が開拓時代の苦労と実りの感謝を回想するように次々と形を変えていく。フォスターとリンカーンはほぼ同時代の人だ。リンカーンもフォスターの民謡風な音楽に親しんでいた可能性は十分にある。冒頭の主題も奏され音楽はファンファーレ風になり事実上の第3部に入る。ナレーションがリンカーンの生い立ちとことばを述べ始める。オーケストラはナレーションを浮き上がらせる背景音になり、リンカーンの演説で締めくくられる。アメリカ史上もっとも有名な演説となったリンカーンのことばは、当時拍手喝采で迎えられたわけではなかった。祈るようなつぶやき声で語られたためにそばにいた記者がメモを取らなかったら演説は歴史に残らなかったとさえ言われている。いずれにしても、今もアメリカ人は暗誦しているような自由に渇望している精神表す名言だ。この曲は第2次世界大戦中にアメリカ人の意気高揚のために書かれた。曲はアメリカ人精神を讃えながら盛大に閉じられる。コープランドらしい音響に徹した音楽だがナレーションの比重が高いので好悪の意見が分かれそうな曲だ。《Aaron Copland(1900.11.14日 – 1990.12.2):Lincoln portrait》



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