mixiユーザー(id:16255101)

2015年11月24日21:17

152 view

シュニトケ:合奏協奏曲第4番/交響曲第5番

第1楽章、トランペットのファンファーレで始まるが、あえて外したような響きの楽しさに感極まる。似ているとは言えないが「兵士の物語」を連想した。主題は楽器を変えながら変容していく。ヴァイオリンのハーモニクスは宇宙遊泳を楽しむような不思議な感覚が肌に染み込んで来る。いくつかの声部が別の旋律を弾いているような混沌とした音の中に美しい調和を発見するのにも意外な快感がある。10階層を何本ものエスカレータが交差するイメージ。チェンバロ、ヴァイオリン、オーボエと音色の違った独奏楽器の絡み合いも新鮮だ。シュニトケがこれほど南太平洋的な雰囲気を出すことは珍しい。爆音にまで拡大した音響に拍子木を叩くようなアクセントをつけて唐突に終止する。第2楽章、チェンバロと弦楽器のトレモロ風の動きから破壊的なもがきに変わる。マーラーの旋律を主題にしているとのこと。マーラーの未完に終わったピアノ四重奏曲の断片しかないために通常演奏されない第2楽章からの引用。重苦しくも耽美な響きはまさにシュニトケ風の味に仕上げられたマーラーの音楽だ。のたうちまわり内部のエネルギーが拡散する直前に信管が抜かれたように弛緩し、時の狭間に幻想を見る。第3楽章、こらえきれなくなった苦痛が溢れ出す。暗さはマーラーと変わらないもっと切迫したむき出しの痛みがある。音楽は凶暴と倦怠の間を上り下りしている。聴くも無残なほど豹変した第1楽章の主題があちこちで顔を出す。滅びようとしている世界を描くには効果的な表現だ。第4楽章、命をかけた抵抗も空しく占領された街中を敵軍の戦車が行進する。失意にくれる住民の暗い表情。コーダの凄まじいドラムの咆哮が死よりも辛い未来を暗示するようだ。この曲の正式なタイトルは合奏協奏曲第4番/交響曲第5番と併記される。その理由は第1楽章に顕著に現れている。第1楽章と後続の3つの楽章のスタイルや音色がまるで違うのが気になるが、第1楽章の魅力の後光が全体にも及んでいるようだ。《Alfred Schnittke(1934.11.24 - 1998.8.3):Concerto Grosso no. 4 / Symphony no. 5 for violin, oboe, harpsichord and orchestra》




7 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する