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2015年09月20日21:22

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シベリウス:吟遊詩人

侘しくハープが掻き鳴らされる。冒頭ではクラリネットがかぶさっていて独特の色合いを出している。北欧の吟遊詩人がカンテレを用いたこともあったのかもしれない。ハープはその代用として用いられている。何かを切々と訴えているだけで、音色はとてもきれいだが変化は殆どない。中間部で殻を打ち破り自由な世界へ羽ばたこうとする信念が強く表れるが祈りは天にまで達しなかったのかもしれない。短いコーダで冒頭の情景に戻り諦観したように非力を嘆いて曲を閉じる。曲に具体的な物語性はないようだ。吟遊詩人はフィンランドの歴史の荒波を訴え続けたシベリウス自身の姿の投影なのかもしれない。殆ど顧みられない曲だが引きずるような孤独感はシベリウス特有の味を発揮している。ハープが登場したことで羊飼いダビデがいつも竪琴を弾いて神を賛美し、民に慰めを与えていた事を連想した。ダビデは後にイスラエルの王となる人物なので吟遊詩人とは違うが資質は同じような気がする。吟遊詩人は楽器を持って旅を続けたために近隣の時事性の高いニュースをいち早く耳にできる立場にあった。詩歌だけではなく、王宮の噂話を通して政治の動きを察知し伝える語り部の役を担ったのも当然だろう。身分的には最下層の旅芸人だが、時代と地域によっては貴族出の者も少なからずいたようだ。吟遊詩人は世界中に存在した。日本では琵琶法師がそれに近い働きをしたようだ。《Jean Sibelius(1865.12.8 – 1957.9.20):Bardi, op.64》




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