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2020年02月23日12:43

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山口輝臣『島地黙雷』

 山口輝臣『島地黙雷 「政教分離」をもたらした僧侶』(山川出版社、2013年)を読了。明治維新とそれに続く時期は、廃仏毀釈とキリスト教とに挟まれ、仏教なるものの消滅すら噂された。僧侶の島地黙雷は仏教の役割をキリスト教との対抗に見出した。
 欧州を視察した黙雷は、レリジョン=宗教という考え方を受け入れ、文明は学術の成果であるとし、宗教と文明とを切り離した。これによってキリスト教がなくとも文明化できる可能性を見出し、神道や儒教などに対する仏教の優位も説明できた。神道は教でなくて道に過ぎないし、儒教は教であっても宗教ではなく、仏教だけが同じ宗教という土俵でキリスト教に対抗できた。
 黙雷は宗教が本領を発揮するためには政治と区別され、宗教のことは宗教に任されなければならないと主張した。別の領分であるから政治による宗教の禁止は不可能で、キリスト教は仏教が打倒すべきだった。黙雷の主張は政教分離と表現して間違いはないが、それは信教の自由を保障するためのものではなかった。
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