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2020年07月24日09:56

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☆洋ちゃんの読観聴 No. 1408

☆洋ちゃんの読観聴 No. 1408            

ユッシ・エーズラ・オールソン 
「特捜部Q −アサドの祈りー」     

デンマークの警察シリーズ「特捜部Q」の
第8弾。特捜部Qとは、リーダーのカール・マーク
警部補を中心に女性のローセ、アラブ系のアサド、
事務担当のゴードンから成る捜査チーム。
日本の人気テレビドラマ「相棒」と少し似て
いて、警察署内の日陰的な存在ではあるが、
次々と難事件を解決してきた。

今回は、いつもと少し様相が異なる。チーム内
で独特の能力とユーモア精神でなくてはならない
存在のアサドに焦点が当てられている。これまで
謎だった彼の出自が明らかにされる。

アサドはイラク人で、彼は妻と2人の娘がいたが
行方知らずだ。アサドに恨みを持つテロリストは
アサドを探し出し殺そうともくろんでおり、その
ためにアサドの妻と娘たちを人質にしている。
また、テロリストと部下らはドイツのベルリンで
爆破テロをねらっており、この計画にアサドを
呼び出そうとする。

この話はキプロスにアラブ系難民が流れ着いた
ことに始まる。新聞で報道された写真にはアサドの
妻が写っており、アサドは妻の生存を知ることと
なる。また、この報道がきっかけでスペイン人の
フリーランサー・ジャーナリストがスクープを
ねらってテロリスト・グループに接近するのが、
一つの味付けとなっている。

カールとアサドはドイツに行き現地の捜査機関に
協力しテロリストらと対峙する。デンマークに
残ったローセとゴードンは別の事件を担当するが、
これにも遠隔地からカールが力を貸す。

話の骨格が最初から見えているので、謎解きの
要素はなく、むしろサスペンスと言ってよい。
欧州の難民問題とテロ問題を扱ってはいるが、
アサドの個人事情が主たるテーマなので、
難民とテロという重要なトピックがなおざりに
された感はぬぐえない。

というわけで、やや期待外れという感じだ。
しかし、このシリーズのファンであれば、
アサドの半生を知っておかないことには
気が済まないだろう。

初めて本シリーズを知る人なら、本書を
手に取るべきではない。シリーズ最初から
読んでこそ意味ある本書なのであるから。



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