☆洋ちゃんの読観聴 No. 1061
柚月裕子 「検事の本懐」 「検事の死命」
正義感あふれる若い検事の活躍を描いた
シリーズもの。僕は未読だが、この検事は
その後弁護士になったらしい。
「検事の本懐」は山本周五郎賞を受賞。
文学界で最高の賞と言えば、芥川賞(純文学)と
直木賞(大衆文学)だが、その前哨戦と言われる
のが三島由紀夫賞と山本周五郎賞である。
三島賞受賞の後に芥川賞を受賞、あるいは
山本賞後に直木賞受賞する作家は多い。なので
青田買い的に言えば、三島賞と山本賞の受賞
作品は注目すべきと僕は思っているし、実際
優れた作品が多い。
三島賞→芥川賞、山本賞→直木賞を受賞した
作家の作品を比べてみると、僕の主観だが、
三島賞と山本賞の作品のほうが優れている
ケースが多い。この理由として考えられるのは、
芥川賞と直木賞の選考において、候補作の
作家は既にある程度の作品を上梓していて
商業的に成功を収めていることが多いのだが、
「この辺で授賞させないとチャンスがない」という
心理が選考側にはたらくのではないだろうか。
したがって、芥川賞と直木賞の受賞作品は
必ずしも作者のベスト作品でないことが多いと
思う。
書き手の多いミステリーで、警察や検事ものは
少なくない。その中で山本賞を受賞した作品とは
どんな作品なのだろうという期待を持って読んだ。
主役の検事のらつ腕ぶりも素晴らしいが、何より
読者の心を打つのは、真相に迫ろうとする熱意と
人間に対する温かいまなざしである。
細かいことを言えば、警察の捜査における見のがし
など実際はもっとちゃんとやるだろうな、という
気になるポイントもあるにはあるのだが、それにも
増して先に述べた検事の姿勢に多くの読者は
共感をおぼえるのではないだろうか。
今回紹介の作品を含めても、まだ4作品しか出て
いないが、これからが楽しみな作家である。
気になってネットで調べてみたが、柚月さんは
山形在住で、夫と子どもたちと暮らしている
40代半ばの女性。なんと画像があり、かなりの
美人であるぞ。
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