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2023年12月12日08:52

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☆洋ちゃんの読観聴 No. 1642

☆洋ちゃんの読観聴 No. 1642       

村木嵐 「まいまいつぶろ」           

今年は歴史時代小説をかなり読んだ。(そのあおり
と言うわけでもないが、ミステリーはいつもの
年ほどは読まなかった気がする。)それと言うのも、
歴史時代小説に秀作が多かったからであろう。

本作品は徳川第9代将軍の徳川家重と彼に仕える
大岡忠光の物語である。家重は生まれつき手足が
不自由で筆談もできないし、小便を漏らしたりも
する。さらに、将来将軍職をこなすには決定的な
弱点があった。彼が口から発する言葉を誰も
聞き取れないのである。

しかし、そこに家重の言葉を聞き取れる少年が
現れた。町奉行の大岡忠相(越前守)の遠縁に
あたる。彼の才能と人格を評価した老中らが彼を
家重の通司としてひきたてた。

だが、将軍の取り巻きらは心配する。家重の
言わば通訳職だが、誰も家重の言っていることが
分からないことをいいことに忠光が勝手に何か
言ったりしないか、あるいは家重の意図とは
異なることを言ったりしないか、という懸念だ。
だが、忠光は忠相の家重の「口になれ、だが
目や耳にはなるな」の言いつけを守り続ける。

第8代将軍吉宗には長男の家重のほかに次男、
三男もいた。特に次男の宗武も優秀で、しかも
身体になんの問題もなかっただけに、吉宗の
側近らは後継ぎに宗武を推した。吉宗は迷った
あげく家重を次期将軍に指名した。

家重と忠光の二人三脚の苦節が続くが、大岡
忠相や老中、さらに家重の妻らが彼らを
サポートする。

ちょっとこれまでにはない人物だし、テーマも
新鮮だ。書評家の縄田一男氏が本作品を高く
評価し「落涙もの」と言うのも納得できる。
(まあ、僕はそこまでいかなかったけれど。)

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