☆洋ちゃんの読観聴 No. 1435
宇佐美まこと 「骨を弔う」
1年くらい前だったと思うが、この著者の
「展望塔のラプンツェル」を読み感動した。
デビューから13年、だいたい年1冊くらいの
ペースで作品が出版されている。本書は
2018年の作品だが、昨年文庫化された。
四国の田舎に住む家具職人の豊は、謎の骨格
標本が発掘されたという地元紙の記事を見つける。
約30年前に小学生だった彼は友人4人とともに
山中に標本を埋めた。だが、標本を埋めた場所と
みつかった場所とは違う。これはどういうことか?
豊は今は離れ離れとなった友人一人ひとりを
訪ね、記事のことを知らせ謎について話し合う。
この一人ひとりがそれぞれ一つの章となって
いる構成だ。30年前に田舎で人が失踪する
事件が起こっていたことが分かってくる。
だが、真相を知っていると思われる仲間の
一人は既に他界していた・・・。
よくできたミステリーだと思う。謎解きは
面白いが、それ以上に人間の暗い部分に焦点を
あて厳しい人の生き方を示すのが、この著者の
特長である。
ペンネームは男性っぽいが、僕は女性だと
思っていた。これは正解。年齢は30そこそこ
かと想像していたが、実は50代半ばのおばちゃん
だった。
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