8/10
シアーシャ・ローナン エディ・ウォーラー
ニア・ブラウン ジェイコブ・アンダーソン
ラキー・アヨラ ロバート・エムズ
ショーン・ギルダー
問題児と学校の先生のダークコメディ。
腐ったミカン(Bad Apple)であるダニー(ウォーラー)はクラスの勉強を邪魔したり、生徒の腕を折る事故を起こしたりして、担任のマリア(ローナン)は上司やクラスの生徒の親から駄目教師の烙印を押されていた。ダニーが暴れるのを止めようとしたマリアは、結果的にダニーを自宅の地下室に監禁することになってしまう。
皮肉なことにダニー不在の教室では勉強が捗り、マリアも子どもたち個々の才能に気付き、教育委員の査察も良好な結果を生む。一方、ダニーには地下室で個別授業を行うのだが……。
1982年の戸塚ヨットスクール事件を覚えているが、親にもどうにもできない子どもたちに対する、体罰を含めた矯正について、高所からの批判が繰り広げられた。死亡事故は悲劇であり、暴力を正当化することはできないが、教育や躾にどこまで強制性が必要なのかという問題は、それほど単純なものではないだろうと当時から考えていた。
その後、教師の体罰には厳しい目が向けられるようになったが、意識の高い人たちの憧れの国と思われるデンマークやノルウェーでは、逆に授業を著しく妨害する児童に対して、教師が一定の身体的介入を行う権限を拡大する方向に舵を切り始めている。もちろん体罰を容認するものではないが、行き過ぎはどちらにしても良くないということだろう。
本作においてダニーの父親は、子どもへの愛情がないわけではなく、貧困と多忙のために子どもと十分に向き合えない親として描かれる。ここで毒親を持ってこないことで、「親が悪い」と観客に逃げ道を与えない。
校長は状況をちゃんと見ずに事なかれ主義でマリアを責めるが、ではどうすれば良いというのか。そんな中、偶然たまたま物理的に腐ったミカンを排除してしまうという、金八先生だったら「このバカチンが!」と叱られそうな展開ではある。
話はダニーとマリアの二人のやり取りだけでなく、とんでもない異物が投入されることで、全く意図しない方向へ向かっていく。
また、教師役がローナンというところも良い。困り果てた表情が実にしっくりくる。真面目にやっているのにどうにもならない、その無力感に共感してしまう。ローナンだからこそコメディになっている。
今年の作品の中でも極めて秀逸な一本。
親としては、自分の子どもの教育にできる限り目を向けたいと思いました。
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