7/10
アダム・ミークス監督・脚本
ウィル・ポールター、ノア・センティネオ
エリース・キブラー、エミリー・ミアデ
ダニー・ウォロハン、ケビン・P・ブレイグ
アネット・デアオ
薬物関連の罪で収監された男コディ(ウィル・ポールター)は、更生施設に入り、行政から再起を求められる。
実際に依存症からの回復過程にある人たちが出演しているので、とにかくリアルさが半端ない。歯が欠けていたり、ほとんど残っていなかったりする人も多く、長年セルフケアができていなかったことが、そのまま身体に刻まれている。
自分はポールターファンなので観てみたのだけれど、今回はプロデューサーも兼ねているうえ、実際の薬物依存症の当事者たちを現地で観察して役を作っている。そのため、いわゆる既存の「依存症患者らしい演技」の模倣になっていないのがいい。
最初のコディは何事も他人事のようで、感情の起伏にも乏しく、眼にも意志が感じられない。定期的に薬物使用の有無を確認されているにもかかわらず、10代から依存してきた彼にとっては、薬物はもはや特別なものではなく、生活の一部として息をするように注射器へ手を伸ばしてしまう。
衣食住薬。
また、妹の家に転がり込んでいるにもかかわらず、警察を呼ばれると急に感情をむき出しにしたり、行政サービスへの不満を口にしたりと、他責的なところもかなり目立つ。
そんなコディが、更生施設での地味で細かな積み重ねによって少しずつクリーンになっていく。大きなドラマが起きるわけではないが、眼に力が戻り、やがて人前でしっかりスピーチできるようになる。その変化を大げさに見せず成立させているところに、ポールターの演技力の確かさをあらためて感じた。
また本作は、薬物汚染について「誰が悪いのか」という犯人探しを安易にしない。社会や行政だけを悪者にすることも、依存者本人だけを断罪することもなく、あくまで一人の人間が人間として回復していく姿に注力している。
その距離感が、とても誠実な作品だと思った。
ポールターファン(いるのか)以外にも観てほしい作品。
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