〜かつて不当な理由で投獄されたワヒドは、自分を拷問した看守と思われる男と偶然出会う。咄嗟に強引な手段で男を拘束し、荒野に穴を掘って男を埋めようとするワヒドだったが、男のIDカードを見ると、復讐すべき相手と名前が違っていた。男も人違いだと言う。実は投獄中、目隠しをされていたワヒドは、男の顔を見たことがなかった。男は本当に復讐の相手なのか。確信が持てなくなったワヒドは、ひとまず復讐を中断し、同じ男に拷問された友人を訪ねることにするが〜(映画com.より)
凄い作品です。
2025年カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞。
かつてイラン政府から映画製作を禁じられながらも活動を続け、二度の投獄経験を持つというジャファル・パナヒ監督の渾身の作。
冒頭、夜道を車が走り、運転していた男は犬を敷き殺してしまう。
その場面はハッキリとは映らず、犬の姿も見えないが、ただ哀れな犬の鳴き声だけが聞こえる。
なんとも不穏な出だしから本作は始まります。
不当に逮捕され、激しい拷問を受け、その後遺症で今も腎臓を病み、妻は自殺して何もかも失ったというワヒド。
目隠しをされていたので、拷問した男の顔は分からないが、しかし義足をひきずるあの音だけは忘れられない。
そしてその音を発する男を偶然見つけ、復讐をしようと拉致して穴を掘るのだが、相手はまるで人違いだと言い、ワヒドも自信を失くす。
同じ目に遭った仲間を訪ねて確かめようとするが、中々確信が持てない。
ただ、同じ境遇の仲間たちがどんなに酷い拷問に遭ったかが、言葉の端々から分かって来る。
殴られ蹴られ踏みつけられ、3日間中吊りにされ、絞首台に吊るされ、レイプされる。
誰もが恨み骨髄であるのは確かだが、しかし思いもかけないアクシデントが起こり、お人よしにも程がある対応をするところで、ワヒドは本当は悪い人じゃないのだとシミジミ分かる。
マイナーな映画ですのでネタバレします。
これから観ようという方はお気をつけください。
砂漠の中の木に縛り付けられ、目隠しされたまま最後の責めをされた男は、白状する。
そしていかにも自分がエグバルだ、ああするしかなかったのだ、と絶叫する。
が、ワヒドは痛めつけるだけで、殺さないで逃がしてしまう。
後日、日常生活に戻ったワヒドの後ろ姿に、あの義足を引きずる音が聞こえる…
固まったワヒドの背中だけを見せて、映画は終わります。
結末は、視聴者の想像に委ねられます。
私には、義足を引きずる音が近づいて、その後かすかに遠のいていくように感じられました。
エグバルはワヒドを探し当てたが、最後に許したのだと。
平和な日本に住む人間の、理想論にすぎないのかもしれませんが…
公式HP
https://simpleaccident.com/
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