今日は横浜みなとみらいホール主催の特別演奏会に行った。「LUCYプロジェクト」という名で、演奏は神奈川フィルハーモニー管弦楽団である。
プログラムは次のとおりである。
・ドビュッシー:交響詩「海」
・阿部加奈子:風の睦び〜オルガンとオーケストラのための3章
・サン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付き」
指揮:阿部加奈子/オルガン:近藤岳
会場:横浜みなとみらいホール (14:00 開演)
LUCYというのは横浜みなとみらいホールのオルガンの愛称で、横浜にパイプオルガンが響き渡ってから約150年、今日は新たな時代の一歩ということである。指揮者の阿部加奈子の作品も聴ける。正直、作曲もなさっているとは知らなかった。どのような作品だろうと思ったが、それならば聴きに行けばいいのである。みなとみらいホールからの委嘱作品ということで、もちろん本日が世界初演である。
その前にドビュッシーの「海」が演奏される。今日のプログラムの中で唯一オルガンを使わない作品だが、前座のような位置付けなのかと思っていたら、阿倍の「風の睦び」にもなんとなくつながるような感じで、だからこそ最初に持ってきたのかもしれない。「海」は「海の夜明けから正午まで」、「波の戯れ」、「風と海の対話」の3つの楽章から成り、それぞれの情景を見事に描いている。また、初版楽譜の表紙には北斎の「神奈川沖浪裏」がデザインされたことも有名だ。阿部の「風の睦み」も、「薫風」、「凪」、「風雲」の3章から成り、「凪」は広重の「神奈川台之景」からインスピレーションを得たという。
その「海」が終わり「風の睦び」に移るが、この作品は、オルガンは風をオーケストラは横浜の街を表すという。「薫風」は太古の自然の中の横浜を描き、穏やかな雰囲気である。もちろんまだ「横浜」という街はない。横浜というよりは「トトロの森」のような雰囲気が感じられ、オルガンも静かにオーケストラに溶け込んでいる。「凪」は前述のとおり広重の版画によるものだが、オーケストラは雅楽のような響きを出しており、オルガンは笙の役割を果たしているという。ところが「風雲」になると雰囲気が一変、激しいオルガンの独奏によって始まり、オーケストラも絢爛豪華な大音響を響かせる。ペリー来航後に急速に発展し現在につながる横浜のイメージということである。演奏終了後は会場から割れんばかりの盛大な拍手が、作曲者であり指揮者である阿部加奈子に贈られた。今回のコンセプトにふさわしい素晴らしい作品だったと思う。
休憩のあとはサン=サーンスの第3番だ。前半にメインディッシュを持ってきてしまった感じだが、オルガン付きの交響曲の代表ともいえるこの曲を外す訳にはいかないだろう。重厚なオーケストラと壮麗に鳴り響くオルガンによる派手な交響曲というイメージもあるが、緻密に構成された作品でもあるのだ。第1楽章第2部のオルガンの美しさは絶品だった。第2楽章第2部では、オルガンは天上から鳴り響くような音響で、最後まで劇的に展開していく。こちらも素晴らしい演奏であった。
ところで、今日気付いたのだが、最近行った演奏会は4回続けて横浜みなとみらいホールである。別にこのホールを選んで行っているのではなく、行きたい演奏会を厳選したらたまたま続いただけなのだが、少なくとも年内のみなとみらいホールは今日が最後だろう。この個人的な「みなとみらいシリーズ」(?)の最後を飾るのに最適な演奏会であった。
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