参議院議員選挙の投票を済ませ、そのまま王子に向かった。今日は芥川也寸志生誕100年記念コンサートである。
プログラムは次のとおりである。
・芥川也寸志:交響管絃楽のための前奏曲
・芥川也寸志:交響管絃楽のための音楽
・芥川也寸志:交響三章 (トリニタ・シンフォニカ)
・芥川也寸志:日扇聖人奉讃歌「いのち」
・芥川也寸志:映画版組曲「八つ墓村」
・芥川也寸志:アレグロ・オスティナート (交響組曲「東京」より)
藤岡幸夫指揮 オーケストラ・トリプティーク/合唱:生誕100年記念合唱団
会場:北とぴあ さくらホール (14:00 開演)
今年2025年は芥川也寸志の生誕100年なので、芥川作品が演奏される機会も例年より多いが、日本人作曲家の作品を専門に演奏するこのオーケストラも当然コンサートを実施する。誕生月の7月に誕生地の東京都北区で開催というのも、こだわりを感じる。マニアックなコンサートも多いオーケストラだが、今日は芥川也寸志ということで、会場の入りも満員に近かった。冒頭に芥川也寸志夫人の真澄氏の挨拶があり、そのあと演奏会がはじまる。
まずは「前奏曲」から始まる、これは芥川のオーケストラ作品としては(現存しているものでは)最初のものであるが、すでに芥川色が出ているのが面白い。伊福部の影響も随所に感じられる。ヴィオラのソロで静かに始まり緩やかな感じかと思いきや、突然ギアチェンジしてアレグロの大爆音になるのが面白い。なんとプロのオーケストラによる演奏は今日が初演らしい。1990年のアマチュアオーケストラの新交響楽団による演奏が世界初演で、その録音は聴いていたが、まさかそんなに演奏されていない作品だったとは思わなかった。
続いては交響管絃楽のための音楽と交響三章で、これらは比較的演奏機会も多い作品だろう。「交響曲」とはなっていないが、実質は多楽章構成の交響曲のような作品である。どちらもやはり最終楽章の「芥川節」のアレグロが良いのだが、前半の楽章も十分に聴き応えがある。いずれも演奏会で聴くのも初めてではないはずだが、何度聴いてもいい曲である。
休憩のあとは合唱も加わって「いのち」から後半が始まる。この曲は芥川作品の中ではマイナーな方かもしれないが、演奏会で聴くのは2回目だ。未完の遺作であり、すでに健康状態がすぐれなかった芥川が、生前に鈴木行一にオーケストレーションの残りを託していた作品である。勝手に誰かが補作したのではなく、きちんと芥川の意図を反映して完成させた作品といえるのだ。終始響くC(ド)の音をベースに、合唱に重ねてずっと合唱による「南無妙法蓮華経」が続き、独特の雰囲気が漂う曲である。芥川の数少ない宗教音楽であるが、もう少し生きていてくれたなら、さらなる展開もあったかもしれない。
続いては「八つ墓村」の映画音楽の組曲であるが、実は最近自筆譜が発見されて、今日はそれによる演奏ということである。「八つ墓村」の音楽はいくつかの録音が存在するが、どれが本来の作曲者の意図に沿ったものなのか分からない状態だったらしい。改めて自筆譜を見ると、これこそが映画用マスターテープの演奏であることが分かり、今回はその譜面による演奏ということである。「メインタイトル」、「鎧武者〜父の記憶」、「惨劇・32人殺し」、「青い鬼火の淵」、「呪われた血の終焉」、「エンディング」を続けて演奏する。映画自体も観ているし、ぞれぞれの場面も浮かぶが、芥川自身も「自分の映画音楽における総決算」と語ったように、内容も充実した音楽である。あとで映画もDVDで観直してみようと思う。
最後は「アレグロ・オスティナート」である。アレグロ・オスティナートということ自体、芥川作品の象徴のような用語だが、これは組曲「東京」の第4楽章である。たぶん今日のプログラムで唯一初めて聴く曲だ。標題から想像されるとおりの「アレグロ・オスティナートな曲」であり、聴いていると気分が高揚するような曲であった。
芥川作品を堪能した素敵な午後であった。

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