スペインの名匠ペドロ・アルモドバルによる初の長編英語劇で、2024年ベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞したヒューマンドラマ。
元戦争ジャーナリストで今は末期癌の患者となったマーサ(ティルダ・スウィントン)と、その古い友人で小説家のイングリッド(ジュリアン・ムーア)が共に過ごす数週間が描かれる。
苦しむことなく自分らしく死にたいと望むマーサは、自分の意思で最期を迎えることを決意し、イングリッドに隣の部屋で最期まで寄り添ってほしいと依頼する。
ここまでは、予告編などから知っていたこと。
このデリケートな問題を、アルモドバル監督がどう料理して見せてくれるのかと期待していました。
が、非常に淡白な、押さえた演出。
画面に広がる家具や小物、2人の衣装などは色彩豊かでとても鮮やかなのですが。
結局「死を恐れるのではなく、自ら受け入れること」というテーマをどう受け止めるかは視聴者次第であると、突き放された気分です。
安楽死についてはアメリカでは州によって違うようですが、ニューヨークでは違法であり、なのでその用意や後始末(発覚後、イングリッドには殺人の嫌疑がかけられた模様)は大変なようです。
安楽死を選びたい、しかし誰かに傍にいて欲しいという勝手な要求を、その危険を犯してまで叶えてくれる友人がいたという時点で、マーサは勝ち組だったと言えるでしょう。
しかしイングリッドも、純粋な友情は勿論あったにしろ、作家としてこの貴重なシーンを見逃がしたくないという好奇心があったことも否めない(貴女のことを書いてもいい?とマーサに確認していた)。
マーサとその娘ミシェルとの関係については、納得できませんでした。
マーサは世界を飛び回る戦争記者としてミシェルを早くから手放し(彼女がどう育ったかは言及がなかった)、父親について娘が満足する説明をしなかったことなどから、ミシェルから嫌われていた。
そして結局、死ぬまで会おうとも話そうともせず、ミシェルはマーサが亡くなってから初めて現れるのです。
娘を世に産み出した母親としてそれはないんじゃないの、と思わずにはいられない。
ミシェルがマーサにあまりにも似ていて驚きましたが、あれはティルダの二役だったようです。
☆4
公式HP
https://warnerbros.co.jp/movies/detail.php?title_id=59643
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