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2023年08月20日09:42

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森下典子著「日日是好日」を読んで



照る日曇る日 第1943回

映画も良かったが、それは作者がこれまでの全人生の重みを傾けて語り続けるこの原作が素晴らしいからだと分かった。

「お茶が教えてくれた15のしあわせ」という副題がつけられえいるが、「お点前」は晩餐会とも称すべき「茶事」のごく一部であることを述べた10章、12章の「松風」が止んだ瞬間の恐ろしいほどの沈黙、13章「聴雨」の豪雨が精神を解放する奇蹟的な瞬間の描写が、殊に素晴らしい。

読み進むにつれ、お茶といえば「退屈で無意味な礼儀作法の集積」と決めつけ、敬して遠ざけていた偏見は、ことごとく崩れ去っていったが、「ああ、若い時にやっておけばよかったかも」、という後悔は、やはり先には立たなかったのだなあ。

  誰一人見向きもしなかった猫の絵がある日突然脚光を浴びる 蝶人

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