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2023年01月25日13:28

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映画「ファミリア」

誠治(役所広司)は陶芸家。妻に先立たれひとり暮らし。
息子の学(吉沢亮)は大企業に勤めて、エンジニアとしてアルジェリアのプラントで働いている。
アルジェリアで知り合ったナディア(アリまらい果)との結婚報告に帰国し、「実は会社を辞めて、父さんの陶芸の仕事を夫婦で手伝いたい」と言うが、誠治は「陶芸はもうからないし、せっかくの仕事を辞めたりするな」と諭す。

誠治の家にある晩、若い男がけがをして逃げ込んでくる。
そのとき誠治のトラックを運転して去ろうとして、ぶつけて壊してしまう。

その男・マルコス(ザガエルカス)は、ブラジル人。
団地に同胞のブラジル人たちと住んでいたが、街のいわゆる「半グレ」集団とトラブルになり、半グレのリーダー・榎本(MIYAVI)からは「シャブを売りさばいて金を作れ」と脅迫されていた。そのいざこざでけがを負わされていた。

マルコスの手当をしたのに、彼は何も言わずに立ち去ったが、恋人のエリカ(ワケドファジレ)が誠治の家に謝りに来る。そして、おわびにごちそうしたい、と誠治や学たちを、団地のブラジル人コミュニティのパーティーに招待するのだった。
誠治はぶっきらぼうで、気力のないマルコスが気にかかる。

マルコスやその友人のルイ(シマダアラン)やエリカたちは、マルコスの父親がリーダーとなって日本に渡って来ていた。ところが折あしくリーマンショックのあおりで、ブラジル人たちはまっさきに失業。責任を感じた父親は団地で自殺してしまう。

榎本がブラジル人たちを目の敵にするのは、ブラジル人が運転していた車が保育園児たちに突っ込んで、妻子を亡くした事故からだった。
マルコスたちは運転手と関係なかったのに、榎本はブラジル人全部を憎み、無理難題を突き付け、暴行していた。
榎本は地元ではいくつも会社を経営する町の名士の息子であるため、警察も手出しができず、暴力団組長(松重豊)さえ、頭が上がらない。

ブラジル人に対しても分け隔てのない誠治を慕い、エリカはよく彼のもとに相談にやってくるようになる。窯焚きをする誠治の姿を、マルコスはじっと見つめていた。
ところがある日、衝撃的なニュースが。
アルジェリアで反政府ゲリラがプラントを襲い、学も人質になったのだ。

犯人の目的は身代金だ、とニュース番組でコメンテーターが言うのを聞き、誠治は必死でお金を工面する。亡き妻の兄(中原丈雄)や、その妻(室井滋)も、足しにしてくれ、と貯金をもってきた。
誠治は外務省までクルマを走らせて、このお金を身代金としてくれ、と懇願するが、役人たちからはやんわりと断られてしまう。

そして、悲劇が。
学もナディアもゲリラに射殺されてしまった。ナディアは妊娠が分かったばかりだった。
誠治の悲しみは癒えない。

さらに、ルイが、榎本たちになぶり殺される事件が起きた。
マルコスの怒りは止まらない。
誠治は、大事な人を失ったもの同士、なんとか榎本に復讐を、と考える。
刑事の隆(佐藤浩市)は、誠治の幼なじみで、昔々は「ワル仲間」だったが、彼にも事前に連絡を取り、ひとりで、榎本たちがたむろする場所に乗り込むのだった・・


外国人差別の問題も織り込み、「共生社会」をテーマに据え、異なる生まれの者同士が「ファミリー」となっていく物語。
それは孤児だったナディアと結ばれた学であり、誠治とマルコスであったり。
映画評では「誠治があまりにもいい人すぎる」というものもあったが、誠治はすでに大事な妻を亡くしていたからこそ、親のいないマルコスにシンパシーを感じていたのだろう。
誠治と隆がかつて不良同士だったことは会話に少し出てくるだけだったが、終盤、その伏線が回収となるワケで。
役所広司さんは、ずっと好きな俳優さんですが、いわゆる娯楽大作よりも、犯罪者の更生を描いた昨年の「すばらしき世界」といい、今回の「ファミリア」といい、社会色の強い作品に積極的に出演している姿に好感が持てます。
(1月23日、大阪ステーションシティシネマ)
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