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2023年01月13日13:13

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島田潤一郎著「古くてあたらしい仕事」を読んで



照る日曇る日 第1845回

何をやってもうまくいかない著者が、最後の最後に取り組んだのは「古くてあたらしい仕事」、すなわち30万円で始めた出版社がの立ち上げであった。

本書はその「夏葉社」が船出するまでのあれあこれやであるが、語り口がざっかけないので好ましい。

しかし最初に出した本が、小島信夫訳、マラマッドの「レンブラントの帽子」、2番目が関口良夫の「昔日の客」の復刊とは、恐れ入る。されど、こーゆー渋い稀覯本の愛好者は、少ないけれども確実に存在していて、そのニッチの狙いが奏功した結果、この弱小出版社は今日まで永らえたのだろう。

この本を読んでいちばん感動したのは、小田急線の生田の山の上に、今も住んでいる庄野潤三の遺族の話である。

早くも世間から忘れ去られた感がある、本邦戦後文学最高の名著「夕べの雲」の作者の小説選集を、偶々著者が出版したことから生まれた清らかな交流、(特に潤三の妻、千壽子さんとの)についての小文は、読んで心の底まで洗われるような思いがしましたね。

  49になったばかりの息子いう「大好きですお2023年!」 蝶人


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