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2023年01月12日20:42

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攝津幸彦句集拾読二十

  鬼あざみ鬼のみ風に吹かれをり
 「鳥子」より。沖積社刊の攝津幸彦全句集の箱に記されて句でもある。初期の代表作となるのだろう。
 句意は字義通りに取れば、鬼は吹かれ、あざみは不動となるが、そこは書かれていない。強者と思える鬼が風に迷い漂い、弱者と思えるあざみは揺るがない。だが、」鬼」の音が繰り返される句から誘い出されるイメージは、鬼あざみが揺れつつ確固とした存在感を持ってあり続けることであり、その不思議さだろう。弱くて強いものがそこにある。
 強弱、動不動の逆転は、その後彼の句の中で幾度となく繰り返される。

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